時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

「・・・おぉ、待っておりましたぞ」
・・・それでルーク達が集会所に入れば数日前の再現かのよう、イエモン達の出迎えを受ける。
「振動周波数の測定値に禁書の中身にタルタロスにアルビオール・・・研究に実験を終え、準備は万全に整いました。これで障気の押し込みは万全になるでしょう」
「はっ、アルビオール?・・・そこになんでアルビオールが出てくるんだ?」
「それはタルタロスを地核に向けて出発して障気の押し込みを成功させた後、あらかじめ搭載しておくアルビオールで地上に戻る為です・・・障気を押し込むためには誰かがタルタロスに乗り込み地核に着いた後で装置を手動で動かさねばならないのです。しかし何も対策を施さねばその時タルタロスにいる者は地上には戻れず、そのままそこで・・・」
「・・・死んでしまうって言うのか・・・」
「はい、ですからそういった事態を防ぐため地核に着いた後装置を作動させアルビオールで脱出する・・・と言った手順になっております。尚アルビオールは先の事故の問題点を我々全員で改良した上で改めて実験しましたので、墜落するような事はございませんからご安心ください」
「そうか・・・」
そこで早速の説明を始めるイエモンだがアルビオールの単語が出てきた事にルークが訝しげに反応するが、アルビオールを使う訳と安全性を強調する弁論に納得を返す。
「ただそれでですが、タルタロスは装置の都合上このシェリダンを出港する時に作動させねばならず、突入ポイントであるかつてホドがあった地にギリギリで着くような時間までしか持ちません。なので無駄に時間を食えませんので、ご注意ください」
「え・・・かつてのホドのあった地って、どういう事だ?」
「・・・ホドはセフィロトのあった場所だ」
「えっ・・・そうなのか?」
「あぁ」
その上で時間制限があると言うイエモンだがホドという単語が出る意味がわからないルークは首を傾げるが、比古清十郎の言葉にそちらを向いて真偽を問う。
「歳の若い奴だったりホドに行ったことのない奴は当時の事を知らんだろうが、ホドという地はそれなりにでかい大陸だった。当時の俺はあの地が消えてなくなるなぞと半信半疑のままホドから出たが、丸々跡形もなく消え去ったその姿にセフィロトが壊れるという事実を目の当たりにしこうなるのかと思った。セフィロトにあるパッセージリングを壊せば大陸1つ、容易に丸々消えてしまうのかとな」
「・・・っ」
「・・・」
そんな問いに実感を込めて当時の事を思い出しながら話す比古清十郎にルークはゴクリと息を呑み、ジェイドは人知れずそっと下を向く。
「まぁその時にセフィロトが壊れた場合の危険性を知った訳だが、同時にホドが無くなったという事はもうそこには大陸どころか海底と呼べる底の部分すらないという事実にも気付いた訳だ。何せ大陸を浮かせていた土台が壊れ、それが大陸ごと綺麗さっぱり魔界に消えてなくなった訳だからな」
「・・・だからそのホドの跡地から、セフィロトに向かうのか?」
「そう言うことだ。事実その跡地付近とおぼしき海域では海難事故の話題には事欠かず、いつしかその航路は船乗りの間で避けるべき海域として見られていた。その海域が元ホドという事でホドの民の呪い、などと言った事でな・・・まぁ事実はパッセージリングが失われた事によりそこに穴が空いて、セフィロトツリーによる浮力が不安定になった事により海域が安定しなくなっただけの事だが、今回はそこを利用するという訳だ」
「・・・そうなのか」
そして続いた現実的な観点から見た上でホドの大陸があった海域が海難事故が多数あったことを告げつつ、そこに入るのだと比古清十郎が言えばルークは複雑にしながらも納得の言葉を上げる以外に出来なかった。









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