時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

・・・そして一方でジェイドは比古清十郎にセカンと共に街の一角で話をしていた。



「・・・これがセフィロトに入れるようになった、という刀ですか」
「あぁ、そうだ」
そこで何をしているのかと言えば、ジェイドが望んでセフィロトに行った時の様子を話してほしいと言ったからである。現に比古清十郎が抜いた刀の刀身にある文字の羅列を見て、興味深そうに眺めている。
「話によればセフィロトへ続く道はダアト式封呪とやらで封印されているとイオン様がおっしゃったので、後でセフィロトに向かったと聞いていかにしてそこを突破したのかと思っていたのですが・・・その刀にそんな仕掛けがあったとは、思いもしませんでした」
「それは正直、私もそう思いました。その刀にそんな仕掛けがあるなんて聞いてませんでしたよ、師匠」
「この刀の仕掛けに関しては口伝で伝えられてはいたが、実際にそうなるとは俺も確信出来ていなかったからな。俺も半信半疑でいざとなればダアト式封呪の扉か周りの壁をぶち壊す気でセフィロトに向かったから、何も言わなかった事を詫びる気は俺にはない」
((・・・扉が開かなくても本当に物理的に道を切り開きそうですね、この人なら・・・))
それで二人が刀の事は聞いてなかったと言えば比古清十郎が全く悪びれもせずいざとなったら力押しをしようとしていたと返したことに、二人がシンクロして出来るかもと微妙な想いを抱く。
「まぁそれよりだ・・・今あのジジイ達がやっている研究。あれが形を成し無事に障気の押し込みが済めば後はセフィロトを巡り、外郭大地降下の作業を進める事が重要になる・・・そうなればそこから先の事を考える必要があるが、お前はダアトにひいては導師をその作業に関わらせるようなことをする気はあるまいな?」
「えぇ、当然そのような事をする気などありませんよ。こちらがやって来たことはダアトを否定するための行動ですから、今更こちらに同調させては意味がなくなりますからね。ただダアト式封呪の扉を開く時にはイオン様の協力を仰がねばならないと思っていたので、正直貴方が封印を解けると知ってありがたく思っています。イオン様が協力してる、となればまたややこしい事になりかねませんからね・・・その代わり貴方には力を貸してはいただきますが、よろしいですか?」
「聞かれるまでもない、ダアトにしゃしゃり出られても面倒だからな。それくらいは俺も協力してやる」
そんな空気はさておきとダアトについてのこれからをどうするかを比古清十郎が問えば、ダアトを邪魔者として扱うかのようにして返すジェイドに満足そうに返す。



・・・二人とも分かっているのだ、これからが預言の意味を無くす為に更に重要な時だというのにそこにダアトが良いように見える介入をさせてしまえばその意味が薄れると言うことを。更に言うならそんな時になっている時のイオンの登場こそが、面倒な事態を引きおこしかねなかった。イオンならおそらく協力を願えば純然な善意で応えてはくれるだろうが、その純然な善意こそが邪魔になるのだ。言い方は悪いが腐ってもダアトの代表、そんな存在が世界の危機に対し積極的に動いたなら流石導師・・・と見られかねない。そうなれば今の世界の風潮として導師の行動は預言による善意、と見られてもおかしくはないのだ。例えイオンが第七預言の事を知って、そんなつもりはないと言ってもだ。

・・・つまりは以降にダアトの協力があってこそ出来たこと、と思われては面倒なのだ。折角モースにユリアシティの介入がない今の状態なのに、ダアトから預言を排しにくい状況にまたイオンのせいで盛り返されたなら。そしてイオンではそんな事態に断固として対応することなど出来はしないと、比古清十郎達は思っていた。そんなことになるなど絶対に御免だとも・・・












・・・そんな様々な想いが交錯する中で数日が経ち、再びルーク達は集会所に集められた。一通りの作業に研究は全てやり終えたと・・・







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