時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

「・・・おぉ、お待ちしておりましたぞ」
「あぁ。おっ、カクノシンにフリングス少将・・・二人揃ってこっちに来るって思わなかったぞ」
「いえ、話をよくよく思い出せばカクノシン氏はタタル渓谷に向かうとの事でしたからわざわざグランコクマに行くより別の者にあの御方の身柄を任せ、ケセドニアで合流してこちらに参った方がいいと思いそうしたまでです」
「そうだったのか」
「えぇ。振動周波数の測定装置はこちらの方々に渡しましたし、タルタロスの引き渡しの許可をしたためた手紙がグランコクマより近い内に来るはずです」
「そうか・・・」
・・・集会所に入った所でイエモン達による出迎えを受けるルーク達。その中にフリングスと比古清十郎の姿が共にあったことでルークが意外そうに声をかければ、フリングスがそれまでの経緯を事細かに説明して返しルークも納得する。
「とは言え我々も今来たばかりですぐに研究が完成する、という訳ではありませんのでまた数日程は時間が必要になるとの事です。ですのでまたしばらく待機してもらってもいいですか?」
「そりゃ構わねーよ、必要な事だし・・・お前らもいいよな?」
「勿論ですよ」
だがそこでまた用意に時間がいると気遣って声をかけてくるフリングスに、ルークもジェイド達も大丈夫だと首を縦に振る。






・・・その後やることもないので技術者達に後を任せ解散した一同だが、そこでルークは宿の一室でフリングスと二人きりで対話していた。
「・・・どうだった、ナタリアの様子は?」
「・・・魂が抜けたように大人しくなっていました、今頃はグランコクマに着いている頃と思われます」
そこでルークが神妙に話題に出したのはナタリアの事・・・やはり少し苦い思いがあったのだろう、フリングスもそれを察し真剣に返す。
「・・・やっぱ恨んでるかな、俺の事を・・・」
「・・・確かに恨んではいました、力ない声で。ですがそれらは全て包み隠さず申すならそのナタリア殿下の恨みは、逆恨み以外の何物でもないと思います。自らの行動に対する反省などなく、ただ貴方が自らを見放した事だけを責めていましたから・・・」
「・・・」
負い目を感じ暗くなる表情を見てすかさずらしくないと知りつつもナタリアが悪いと前置きして擁護するフリングスに、ルークは顔を落とし少し考え込む。
「・・・やっぱ、避けられないか・・・」
「・・・ルーク殿?」
「・・・いや、悪いフリングス少将・・・少し頼みがあるんだ、聞いてくれないか?」
「・・・カーティス大佐ではなく、私にですか?」
そこから出てきた決意の滲んだ声にフリングスは少し覗きこもうとしだした時、神妙な様子でルークが顔を上げ頼みと切り出したことに自分に対してなのかと首を傾げる。
「・・・ジェイドに言っても多分なんとかなると思うけど、なんつーかあんたの方が今から言うことを聞いてくれそうな気がしたからあんたに頼みたいんだ」
「・・・何か言いにくい事なんですね、それは」
「あぁ・・・無理だったら無理でいい、聞くだけ聞いてくれ」
「はい、わかりました・・・」
その自身の問いに余程難しい事を頼むのだと察したフリングスは話を聞くことにした、その頼みがルークの心底からの望みでそれを叶えてあげられるものなら叶えさせたいと思ったが為に・・・








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