時代と焔の守り手は龍の剣 第三話

「グリフィンが大群で来た・・・本来群れるはずのない、グリフィンが・・・まずいです、ルークさん!そのグリフィン達は恐らく意図的に誰かに操られています!」
「えっ!?」
独り言から考えを瞬時にまとめたセカンは目下このメンツで戦いの経験がないと思われるルークに振り向き、声を張り上げる。
「あまり下手に動かない方が良さそうです。ここは先程の部屋に戻り『ブリッジ、聞こえるか!機関室に敵襲!このままでは・・・うわぁっ・・・!』」
「機関室!応答を・・・ダメか・・・」
それから部屋に戻るべきだとセカンは言おうとしたが、途中にジェイドが手にしていたマイクからマルクト兵が事切れる声が届く。
「・・・これはタルタロスを襲った敵は相当に計画してここに来てる。ならこの場所も当然危なくなる・・・!」
「えっ!?じゃあイオン様も!?」
「当然・・・危険です」
「そんな・・・」
その様子からセカンは自分達がどれだけ危うい位置にいるのかを整理する声を緊迫して出し、その声にアニスとティアはイオンの身を思い暗い面持ちになる。
(大事なら、常に側にいればいいのに・・・!)
そんな二人を見て内心こんな事態にぶつかったことのないセカンは打開策を考えつつも、珍しく苛立ちを覚える。これは集団行動にセカンがそこまで慣れてないのと、先程までイオンと護衛のその役割の意味について考えていたのも相まってのことである。
(・・・ここにいてもこのままじゃ状況は悪化するだけの可能性がある。奇襲をかけられたんなら余程じゃなきゃまず体勢を立て直せないし、最悪このままじゃタルタロスは敵に制圧される・・・なら!)
ただ今は愚痴に時間をかける時間ではないと、セカンは自分なりに考えた事を行動に移した。



「・・・セカン!?」
全員がどうするべきか逡巡している中、突然セカンは外へ繋がる通路の方へ刀に手をかけながら猛烈に走り出し、ルークの目が丸くなる。
「私が道を開きます!いずれここにもすぐに敵が来ると思われます!皆さんも私の後に続いてくださいっ!」
いきなり走り出しながらもセカンは後ろを振り向きながら自身の考えた結論、この袋小路と呼べる場での大量の敵との遭遇を避ける為の速攻の待避を簡易に告げる。



・・・戦術として一対一の戦いなら袋小路はまだいいかもしれないが、多対多の状況において壁際に追い詰められたのが少数派だったなら絶望的だ。オマケに今この場で少なく見積もって敵の戦力であるグリフィン達と大量に戦っても無事にいられそうなのは、精々セカンとジェイドくらい・・・そんな状況でこの場でただジッとしてるだけでは敵に襲われじり貧になるだけで、状況は確実に好転はしない。

故にセカンはこの場からの脱却の為、このままここに置いておくわけにはいかないと思ったルーク達の為にもと道を開くと決めたのだ。



「・・・っ・・・!」
が、途端にセカンは外への出口の階段に差し掛かると何かに気付き途端に足を止めバックステップする。
「ほう。勘がいいな、小娘」
するとそこから現れたのは全身黒ずくめの服を着て、身の丈二メートルはあり立派な髭を携え大鎌を持った大男だった。
「ふんっ!」
「はっ!」
‘キィンッ!’
その大男はいきなり気合いの入った声で大鎌で切り掛かるが、その攻撃をセカン刀を抜いて止める。
「本当にやるな、小娘。俺の力に押されんとは」
「貴方達は、何の目的でここに!?」
鍔ぜり合いのように拮抗して止まる互いの刀と鎌。そんな状況で大男はうっすら楽しげにセカンを褒めるが、当のセカンはただこうした訳を教えろと責めるような視線を声と共に送る。











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