‘ドンドンドンッ！’
「っ・・・結構素早いな、でかい図体の割に・・・！」
前に出た二人に対しブレードレックスがその巨体の外見にそぐわぬ早さで突進してくるが、それを横にサッと飛んで避ける二人。シンクがその動きに悪態をつく中、セカンはブレードレックスから視線を離さずに早口で話しかける。
「シンクさん、あの動きは少し厄介ですから足を止めます。次に突進してきたら私の方から離れてください、下手をしたら巻き込まれます」
「わかった・・・って来たよ！」
巻き込まれる、剣呑な響きを込めた声にシンクはすぐに了承を返すが突進からすぐに身を翻したブレードレックスがまた突進してきたことに忠告をしつつもセカンからバックステップで距離を取る。
‘ギュアァァァッ！’
「・・・動きは読めてます！」
ブレードレックスの咆哮を受けながらも突進してきた巨体を軽く身を捻りながら横に避けつつ、セカンは刀を抜刀する。



「飛天御剣流、龍巻閃！！」



‘ザンッ！’
‘ギュアァァァッ！！’
その刹那身を捻りながら放ったセカンの渾身の一撃が片方の足を切り落とし、その痛みによりブレードレックスは断末魔の叫びを上げながら崩れ落ちた。



・・・龍巻閃、体を巻き込むように捻りながらその遠心力の勢いのままに刀を振り抜く技である。この技は大振りになるのでただ単発で出すには見切られやすい技であるが、体を捻りながら攻撃出来る事から攻撃を避けつつ放てる返し技としての観点で見れば十分に使える技であり威力も申し分ない技である。



「・・・僕が戦う意味はなかったのかな？・・・あぁ、タフだね。まだ片足なくなっても戦おうって立ち上がろうとしてるけど・・・ねぇ、とどめくらいは手伝おうか？」
文字通り一撃でブレードレックスを再起不能にしたセカンにシンクは自分が意気込んだ意味があったのかという気分になるが、まだ頭と片足を使い立ち上がろうとする姿を見て一応意気込んだ分少しはやってやろうかとセカンに投げ槍気味に声をかける。
「大丈夫です、後は首を落とせば終わりですから」
「あっそっ・・・なんなんだろうね、飛天御剣流って。こんな明らかに厄介そうなヤツをアッサリ片付けれるって・・・これじゃあルークの方にいかないよう数多くして囮役をしたと思わないと割に合わないじゃないか・・・」
「龍翔閃！！」
「・・・あ、終わった」
だが帰ってきた大丈夫との声にシンクは平然と通常のように返すが、後半小声で本気で自分は戦った意味はあるのかと自分で逃避気味に理由付けをしていたがセカンの容赦なく首を切り飛ばす場面を見てその理由付けもやめた。
「さ、ルークさん。危険はなくなりました。先を急ぎましょう」
「あぁ・・・やっぱりお前は強いよな、セカン」
「いえいえ、師匠に比べれば私なんかまだまだ・・・」
「・・・カクノシンと比べんなよ、あいつと比べたら大抵っつーかほとんどのヤツがまだまだ以下になるじゃねーか・・・」
（・・・そもそもあれは人間にカテゴライズしていい強さなのかな・・・）
ブレードレックスが完全に動かなくなった所でルークを呼び寄せるセカンだが、強いと感心された声を聞き謙遜して首を横に振る。だがそんな態度に男二人ともに比古清十郎に対して比較対象にはなり得ないという想いを抱き、微妙な表情となっていた。








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