時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

「ぐぬぬ・・・これで勝ったと思うなよ、浮遊機関をたまたまお前らが手に入れられたからアルビオールは作られたんじゃ・・・」
「ほっ!負け惜しみは見苦しいぞ?・・・ではギンジ、アルビオールを出すのじゃ!これがわしらのウイニングランになる!」
・・・アルビオールの前にてヘンケンの悔しそうに歯を噛む姿に、正に勝ったと言わんばかりにイエモンは操縦士のギンジに飛行開始をしろと告げる。
「・・・なんつーか、あれって大人気ないよな」
「今更態度を変えられないんですよ。それこそきっかけがないと・・・ってあっ、すごい・・・」
「・・・すげぇ、ホントにあんなでっけぇもんが空を飛んでる・・・」
そんなやり取りを見ていたルークが隣のセカンにコソコソと話しかけ苦笑気味にセカンは返すが、目の前で鉄の塊と呼べる大きな巨体が空に浮かび上がる様子に二人ともに感嘆を浮かべる。
「さ、広い場所でアルビオールの勇姿を拝見しましょう!ここでは些か狭いので十分にその姿が見れません!」
「・・・あ、あぁ、わかったよ」
そんな二人に興奮混じりで声をかけてくるイエモンにルークは若干引きつつも、素直にその声に従い一同は外に出る・・・









・・・そして外に出てアルビオールの様子を見ていたルーク達はその飛行の様子を見ていたのだが、関心に満ちて集中していた視線が次第にある疑念で細まっていく。
「・・・あれ、何かおかしくありませんか?」
「・・・そうですね。何か風に煽られているのか、フラフラとしだしていますが・・・」
その疑念とはアルビオールの次第に定まらなくなってきた動きであった。セカンがそれを言葉にし、ジェイドがそれを認める声を上げる。そしてその動きがどんどんとおかしくなり、まともに動かしているのか怪しいようどんどんと下降していっている・・・
「い、いかん!アルビオールに何か異常が起きておる!あのままではメジオラ高原の方に墜落してしまう!」
「「!」」
流石にそこまで来てイエモン達もその動きからもたらされる結果に青ざめながら慌てて声を出し、ルーク達はそのまずさにイエモンの方を反射的に見る。
「どうにかなんねーのかよ!?」
「無理です!アルビオールの操作は中のギンジにしか出来ませんし、見る限り完全にコントロールが効かない状態になってます!このままでは・・・」
「・・・もう遅いですね。アルビオールはメジオラ高原の中へと消えていきました」
「!そんな・・・!」
たまらず声を上げるルークにタマラが慌てて返すがジェイドの冷静だが固い声が聞こえてきた事に慌てて振り返り、その消えていった方角に愕然とした声を上げる。
「・・・いずれにしても状況確認はした方がいいでしょう、このままには出来ません。もしもの場合を考えて使えそうな救助用の道具を持ってきてもらえませんか?まだ運よく彼が生きているなら一刻も早い救助が必要になるはずです」
「・・・あっ、はっ、はい・・・すぐに用意します・・・」
そこに自分なりに状況把握をし終えたジェイドはいち速く立ち直って素早く指示を出し、呆然としていたタマラは慌てて使えるだろう道具のある研究室へと向かいだす。
「・・・ギンジ・・・無事でおってくれ・・・」
「くそ・・・わしが試験飛行をしていれば・・・」
「「「・・・」」」
続いてイエモンとアストンも苦悶の表情でタマラの後を追っていくが、普段いがみ合っているヘンケン達三人も事の重大さを理解している為にライバルの失敗を喜ぶ事も出来ずただいたたまれない表情で立ち尽くすばかりであった。







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