時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

「聞きたいことはまだありますか?」
「・・・あ、いや・・・なんつーかその、思ったんだけど・・・お前らって、覚悟して今を生きてんだよな・・・」
「お前ら?・・・それはカクノシン氏にセカンの事を言っているんですか?」
「・・・あぁ」
そんな姿にジェイドは話が終わったかを問いかけると、ルークはまだ何かを言い終えていないと思ったからか不器用に絞り出した言葉で覚悟があると言った。それが自分も含めた複数形であったことに師弟二人の事かとジェイドが問えば、ルークは重く頷く。
「お前らって理由は違うけど、その自分の取る行動の責任ってヤツをちゃんと取ろうとしてるだろ・・・?・・・それが俺はその責任を取る覚悟をしてるように見えたんだ」
「覚悟ですか・・・自分で言うのもおかしな話ですが、してはいます。それはあの二人も同様でしょう」
「・・・なぁ・・・それってやっぱり重い、のか?・・・正直、今の俺にお前たちのように覚悟が出来るように思えねぇんだよ・・・」
「・・・」
覚悟している、ルークからそう言われ微妙な様子で二人も含めてと頷くジェイドだったがその覚悟というものの軽重を問い自分にも背負えるか自信がないとうなだれる姿に、またジェイドは微妙な顔つきになる。だがすぐに真剣な顔つきに変わり、口を開く。
「覚悟をする、そう決めて覚悟をすることは覚悟とは言えない・・・私はそう思います」
「えっ・・・?」
「要は必要な時に自ずと訪れる機会が来るということですよ、覚悟をする時と言うのはね。確かに何かをする事に覚悟を決めようというのは良い心掛けではありますが、それはあくまで心の用意をしようとしているだけです。それで大事なのは実際に覚悟を迫られた時、どのように自分の責任の上で行動しそれを貫き通せるか・・・だと私は思っています」
「・・・つまりそれって、まだ覚悟をする時じゃないってことなのか?俺は・・・」
「少なくとも私はそう思っています。貴方の話しぶりではいずれ来る時の為に覚悟をしたいというように私は感じたのですが、今すぐに覚悟をしなければならないような状況ではないのでしょう・・・つまりは、そういうことです」
「・・・そう、なのか・・・」
そこから自らの思う覚悟はどのような物なのか、それを自分なりの見解も含めて噛み砕いて説明して今はその時ではないとジェイドが言えばルークは経験者の言葉に呆然としかけながらも納得の声を上げる。
「・・・貴方が何のために覚悟をしようとしているのかは私はわかりません。ですが今貴方には考える時間がある、これは覚えておいてください。そして私も出来る限りの協力は惜しみませんから」
「・・・あぁ、ありがとなジェイド」
その様子に余程の事があると察したジェイドは内心を察しない代わりに、心からの助言と笑みを送る。その姿にルークは少し安心したよう、ホッとした笑みを送り返した。












・・・そんなルークとジェイドの二人だけの一幕がありつつも時は進み、ベルケンドからスピノザ達が到着した。その時に多少の一悶着こそあったが、そこはい組とめ組の女性コンビが間を取り持って事なきを得た。

そして場はアルビオールの飛行実験をしようと進む・・・








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