時代と焔の守り手は龍の剣 第三話

「あぁ、よろしくな」
「こちらこそよろしく」
そんなセカンにルークとティアは普通に応対する。
「それで、ルークさん達は外に出られるんですか?部屋から出られてますし・・・」
「ああ、ちょっとな。部屋にずっといても暇だし」
「でしたら私もご一緒しますよ、少し様子を見てみたいですし」
「別にいいぞ」
そこから頭を上げ軽く話をし、セカンはルーク達とともに外に出ようと入口へと踵を返す。
するとその視線の先には、ルーク達を捕縛するよう命じたジェイドがいた。



「おや、貴方は・・・すみませんでした、ルークを保護するためとは言え巻き添えのような形でタルタロスに連れて来てしまって」
「っ・・・いえ、ついでとは言えタルタロスにカイツールを越えた辺りにまで乗せてもらうんです。別にそこまで気にしてませんので、大丈夫です」
そのジェイドの近くにまで行くとジェイドはセカン達に気付き、セカンに向けて丁寧に詫びたような言葉を向ける。が、その丁寧さに引っ掛かりをセカンは覚えつつ、首を振りながら大して気にしてないと返す。



(この人、ルークさんをルークって呼び捨てにしたけど・・・なんか言葉は丁寧だけど、どうも妙に人を見下してるって言うか慇懃無礼な感じに聞こえるのよね。その裏にある本心が例えるなら、そんな感じ)
その時、瞬時にセカンはその引っ掛かりを冷静に心で整理した。貴族であるルークを呼び捨ての訳と、その話し方からジェイドの性格という物を。
(もしかしたらルークさんの場合だったら敬語はいいとか言いそうではあるけど、そうであってもなくてもジェイドさんの場合言葉に遠慮を含ませないで話しそう。それに多分じゃあるけど、私が不満を言ったらこの人遠慮なくここに置いていくくらいは平気で言いそう。「不満があるならどうぞ、今すぐ降りられて下さい。あくまで貴女を乗せていこうとしたのはお詫びのつもりだったのですが、気に入られないのでは仕方がありません」・・・って感じに。多分ルークさんはジェイドさんの和平の材料として協力することを約束したからこうして外に歩けてると思うけど、そうじゃなかったら私と違ってキムラスカまでこのタルタロスに事実上の軟禁って形で交渉の材料にされてた可能性が高い・・・この人頭はいいとは思う、けどその頭がいいのがあって冷たい印象が拭えない。利己的に物を見すぎてる感じがある・・・言葉に出てるのはその利己的な物の見方、かな。なんにしてもこの艦にいる間はあまりこの人の意に逆らわない方が良さそう・・・ホントに降ろされそうだし、すぐに・・・)
その二つの事の整理を終え、セカンが出した結論。それはこの艦にいる間はジェイドという人物を不快にさせないようにしよう、という物だ。
セカンとて下手ないざこざを起こすのは好む所ではない、それにわざわざ言葉面だけは丁寧な男が送ってくれるというのだ。徒歩より遥かに早く。それを考えればこの気難しそうな目の前の人間に逆らうメリットがないのも事実。故にセカンは大人しくしようと、



思っていた。



‘ドゥンッ!’
「「「!?」」」
「・・・ブリッジ、何事だ!?」
いきなりタルタロスが大きな音と共に揺れ、セカン達も驚きと共に揺れ動く。そんな中でジェイドは近くにあった通信機を手に取り、ブリッジに声を張り上げながら状況を問う。
「師団長!敵襲です!前方20キロ地点にグリフィンの大集団です!総員、第一先頭配備につけ!繰り返す!」
「・・・!」
グリフィンの大集団、ブリッジから流れ聞こえて来たその兵士の緊迫感に満ちた声にセカンは表情を声に負けない程緊迫感に満ちた物に変える。










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