時代と焔の守り手は龍の剣 第十八話

・・・ベルケンドから各々のやり方にてシェリダンに向かう道を選んだルーク達。そんな中で一人ミュウを引き連れた比古清十郎は船を乗り継いでその足を運び、タタル渓谷に辿り着いた。






「・・・着いたか」
タタル渓谷の奥地に踏み入れ、迷いなくセフィロトの入口にまで辿り着いた比古清十郎。そこで比古清十郎は道具袋からミュウをわしづかみで取り出す。
「おい、少しソーサラーリングを貸せ。やることがある」
「はいですの」
そのミュウを地面に置きソーサラーリングを渡すよう命令をすれば、疑うことなくソーサラーリングを外し比古清十郎に手渡す。
「・・・さて、試すのは初めてだが口伝通りにいけよ・・・」
そのソーサラーリングを持ちながら刀を抜き、比古清十郎は真剣な面持ちで触れさせるように互いを当てる。
‘キイィィィン’
「・・・フン、どうやら代々の『比古清十郎』が伝えてきた口伝は嘘ではないと証明されたようだな」
そして瞬間光に包まれたソーサラーリングと刀だったが、その光が収まってそこにあった変化に満足げな笑みを比古清十郎は浮かべた。光輝く古代イスパニア語がその黒金の刀身に浮かんでいることに。
「ミュ、ミュミュウ・・・っ!?」
「ん・・・なんだ?用は済んだ、ソーサラーリングは返してやるから言ってみろ」
だが一人と言うか一匹その光景を理解出来ていない声を信じられないといったニュアンスでミュウが上げれば、比古清十郎は愉快げにソーサラーリングをポンとミュウに投げ渡す。
「そ、それはなんですの・・・!?ミュウはソーサラーリングがそんな事も出来るなんて、知らないですの・・・」
「知らなくて当然だ、これはソーサラーリングに元々備わっていた機能ではなくこの刀に備わっていた機能なのだからな。ソーサラーリングに触れたらこうなるようにと、ユリアが死ぬ前に最後に施したな」
「!?・・・初めて聞いたですの・・・!」
「当たり前だ。そもそもお前も聞いていただろう、飛天御剣流の開祖の『比古清十郎』がユリアを殺したという話を」
それを慌てて受け取りながらも何が起こったのかとミュウが戸惑って聞くが、比古清十郎がユリアの施した処置と大したこともないと言ったように答える。それに一層ミュウは驚くが、比古清十郎はディストにユリア殺しの話をした時に姿を見せてなかっただけで比古清十郎の近くで話を聞いていた事を前提に語る。
「その時口伝によればユリアも徐々に預言に染まり行く世界の流れを危ぶんでいたらしく、どうにかせねばと思っていたらしい。それでユリアは二つ手を講じた、第七譜石を祖に渡すようにしたのといざというときにセフィロトの操作が出来るようこの刀をソーサラーリングに触れさせればセフィロトにかかる封呪を解除させることの出来る道具にするという処置をな・・・まぁそれを知らんのも無理もない、ユリア自身が死ぬ寸前に内密に祖に対してだけ行ったことだからな」
「・・・そうだったんですの・・・」
それで出てきた話は刀の変化は封呪の解除の為の物であり、自分達に伝わらなかったのは誰にも伝わらない状況で起こったことだから。そんな説明にミュウも納得する言葉しか出てこなかった。
(・・・まぁ色々言いはしたが、流石にこれ以上は言えんし今話した中身は他のヤツには聞かせる訳にはいかんな。これを聞かせたらいらん事にまで他の者が気付きかねん)
そんなミュウの姿に比古清十郎は内心で考える、それ以上先の話をすることに対しては止めておこうと。それもミュウの為でもなく、ある者の為に。










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