時代と焔の守り手は龍の剣 第十七話

「自分の行動に責任が取れねーって言うのか?処分に不満だってのか?・・・人の事言えた義理じゃねーのはわかってる。けどだ、お前は自分の境遇を嘆くだけで罰を不当だって言うだけじゃねーか。お前、ホントに自分のやったこと後悔してんのか?・・・お前の姿見てたら、ただ王女としての地位を手放したくないだけにしか見えねーよ」
「!」
・・・ナタリアの行動及び発言に満ちた矛盾、それを今ならルークは厳しく突ける。ルークは目を鋭くして射抜くようにナタリアを見て、驚愕と共に一歩後退させた。
「違うなら否定してみろよ、感情とかじゃなく正当な理由を話すことでだ」
「・・・そ、それは・・・っ・・・」
「・・・・・・やっぱり自分が大事なんだな、ナタリア」
更にちゃんと理屈で説明しろと詰めればナタリアは青い顔を背け何も言えない姿を見せ、ルークは目を閉じ苦渋の表情を浮かべる。
「・・・俺はこんなこと言いたくなかった。けど、言わせてもらう」



「・・・今この時を持って俺はお前との婚約を破棄させてもらう、ナタリア」



「!!」
・・・最早言葉を交わすに意味はない、そう判断したが故にルークははっきりと言葉にした。婚約の破棄と。ナタリアはその一言にビクッと前を向き、泣きそうな顔でルークの服を掴む。
「おやめくださいまし、ルーク!そのようなことを言うのは!お忘れになったのですか、私達の約束を!?」
「っ!・・・お前はまた!そんなことを口にすんのか!」
「ひっ・・・!?」
必死に泣き落としにかかろうと約束と口にしたナタリア・・・だがその言葉に一気にカッとなったルークは怒りに顔を染め、ナタリアの腕を振り払い恐怖に染めた。
「いつもいつも俺に対して口にするのはそればっかりだ!その約束を盾にすりゃ俺がお前の言うことを聞くとでも思ったのか、あぁ!?」
「そ、そんなことは・・・」
「無いなんて言わせねぇぞ!現に今だって記憶を盾に情けをかけてくれって言おうとしてただろうが!それがどんだけお前が自分勝手で、約束とやらだけを重視してたのかを明らかにしてると思ってんだ!そんな奴になんで俺が情けをかけなきゃなんねーんだよ!」
「っ・・・!」



・・・今まで約束約束と常から口にされ、ナタリアに対し記憶回復を迫られる重荷を積まされてきたルークの鬱憤が爆発した。



ナタリアを突き放さねばならないという状況もあいまり、過去も引き合いに出した上で考え無しの発言を激しく批難したルークにナタリアは何も言えず言葉に詰まる。
「・・・決まりですね、ナタリア殿下。いや、正確にはもう‘元’と付けるべきでしょうか」
「・・・カ、カーティス大佐・・・」
そこにジェイドはナタリアの後ろから冷めた声を上げ、眼鏡を押さえる。その声に恐る恐る振り向いたナタリアの顔には、涙が浮かんでいた。
「お、お願いしますカーティス大佐・・・貴方からも、ルークに取り成してくださいまし・・・」
「無理ですね、というより諦めてください。そもそも婚約破棄をするか否かの選択をルーク殿に委ねる事を提案したのは私で、当のルーク殿にその意志がないのを確認した時点で貴女の意見はもう意味が無くなりました・・・まぁどうしても、というならお聞きしますが意見を翻す気はありますか?」
「そんな事する気はないし、する意味もない」
「・・・っ!」
「・・・だそうです」
力なくも訴えを向けるナタリアにジェイドは答えを分かりながらもあえてルークに思い直すかを聞くが、即断で否と返されナタリアの涙は目から溢れ、ジェイドは薄ら寒くも見える微笑を浮かべながらゆっくり頷いた。










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