時代と焔の守り手は龍の剣 第三話

「・・・ふぅ」
タルタロスはどこかを目指しひたすらに走っていく。そんな中セカンはタルタロスにある船室の一室にて一人、椅子に座りながら溜息を吐いていた。
「多分私は大丈夫だと思うけど、ルークさん達大丈夫かな・・・?」
そして船室の入口に向かって左側の壁の方を見て、セカンは心配そうに独り言を呟く。



・・・結局セカン達はあの後、近付いてきたタルタロスから現れたマルクト軍の軍人達によってタルタロスの中へと連行されていった。その際セカンはルーク達と違い一般人のカテゴリーに入るという事と二人と途中まで目的地が同じだからそれまで一緒に行くだけだったと言う話をしたことで、巻き込んでしまったことを詫びられしばらくしたら解放すると言われこの部屋に連れて来られた。

そしてセカンは特に何か尋問されるでもなく、ただ一人の時間を過ごしていた。



「タルタロスが向かってる方角は南・・・ルークさん達を連れてグランコクマに行く訳じゃなさそうだから、連れていくのはセントビナーかカイツール・・・はたまたその先・・・?・・・どうするんだろうマルクトは、ルークさん達を・・・」
そしてそんな状況だからこそ、セカンはルーク達を心配しながら思考を深めマルクト軍の行く先と目的を探っていく。
‘ガチャ’
「失礼します」
「・・・あ、導師」
するとそこにイオンが入って来て、セカンは入口のイオンに視線をやる。
「先程ルーク達についてのお話が終わりました。それに加えて貴女についてもお話したのですが、あまりタルタロス内を歩き回らないというのであれば我々もカイツールを通るのでついでにそこまでは乗せていって構わないとのことです」
「そうですか・・・ですが導師、何故導師が直々に私に話を?」
そして入室一番セカンの処遇について話をするイオンに、セカンは丁寧に疑問を口にする。
「普通は兵士の方辺りがそのことについて説明に来るかと思ったのですが・・・」
「あ、いえ。その話し合いが終わって僕は少し外の空気を吸いたいと思ったのもあったし、貴女とお話をしたいと思ったのもあって僕からこのことは彼女に説明するとジェイドに言ってここに来たんです」
「そうですか・・・」
イオンから返ってきた返答はただの善意による気まぐれ、どういう意図があったのかを気を張って探ろうとしたセカンは半ば気落ちする。
「ですがティアが気にしていましたよ、何故貴女がルークの正体に気付いていたのかを」
「え?あ、それは話に聞いていたキムラスカ王族の人の特徴と一致していたから多分そうなんじゃないかと思って・・・名前も聞いたことがありましたし・・・」
「そうなんですか」
そんなセカンに世間話がてら話をしてくるイオン。そんなイオンにセカンは素直に感じていた事を言って返しイオンは笑むが、この際聞きたい事は聞こうとセカンは自分から口を開く。
「その、ティアさんにルークさんはどうしてるんですか?見た所タルタロスは停泊してませんけど、ルークさん達も同じようにカイツールにまで乗せていくんですか?」
「ルーク達なら向こうの部屋でゆっくりしてますよ。それにルーク達も話し合いをしてマルクト軍が責任を持ってキムラスカにまで送り届けるようになりましたので、しばらくはご一緒になります」
「そう、ですか・・・」
疑問をぶつけたセカンに自然に答えたイオン。だが淀みなく答えられたそれに、不自然さをセカンは感じ取っていた。



(戦争間近だったマルクト軍が敵のキムラスカの王族をわざわざ送り届ける・・・普通敵国と戦うには少しでも有利な材料を手元に置いておきたいはず。なのにわざわざそれを手放す・・・純粋な善意でそんなこと、到底国が許すわけない。ならこのルークさんがキムラスカに送り届けられる理由、それは恩をキムラスカに売ること以外にない・・・)
その不自然さを自身の知識から補足し、セカンは脳内でルークを届ける意味を完成させようと思考を深める。
(それにここには導師もいる、見るからに平和を愛していそうな導師が・・・そんな導師を引き連れ、更にマルクトがキムラスカに向かう理由なんてまず和平以外考えられない・・・)
そしてそんな思考が導き出した答えは、マルクト側からの和平。
(おそらく戦争間近である状況でマルクトが和平を持ち出さなきゃいけなかった理由は、アクゼリュス・・・)
更にセカンはそうするに至った理由をアクゼリュスにあると推測をする。









2/19ページ
スキ