時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話

「・・・では私は最後の一押しの為に少しここを出ます。お二人はここでお休みください」
「あぁ」
そのまま笑みを浮かべつつ念押しの為に部屋を出ていくジェイドに、比古清十郎達はそれを見届ける。
「・・・多分うまくいくとは思うけどさ、大丈夫かな?」
「心配いらんだろう、俺達はゆっくりと待つぞ」
「だよね・・・」
その後念押しが成功するかと比古清十郎に声をかけるが、全く気にした様子もなく即答されシンクも妥当だろうと大して気にせず頷いた。












・・・そしてジェイドが部屋に戻った後、三人は特に何をするでもなく時を過ごし・・・時刻は丑三つ時と呼ばれる時間へと差し掛かった。



‘ガチ・・・’
「「「「・・・」」」」
・・・暗く照明の落ちた部屋の中、大きく音をたてないように開けられた入口のドアから静かに何者達かが入室してくるがその者達が向かった先は三人が眠ってると見られる盛り上がったベッド・・・その手には全員剣が握られている。
「「「「・・・っ!」」」」
そして三人の眠っているベッドを取り囲む不審人物達は一斉に剣を振り上げ・・・



‘ザクザクザクッ!’



「何っ・・・っ!」
ベッドに剣を突き刺していったが、何か異変に気付いたのかその不審人物達の一人から驚きの声がもれてきた。
「お目当ては我々ですか?」
「「「「っ!?」」」」
と、部屋の反対側から声が届いてきたことに不審人物達は一斉に振り向く・・・そこにはランプに火を点けたシンクを背後につける比古清十郎とジェイドがいた。
「やれやれ、来るかとは思っていましたがやはり来ましたか」
「何を言う、キムラスカを謀略により滅ぼさんとする悪魔め!」
「・・・成程、そう来ましたか」



・・・食事には毒はなかった、ならば次は警戒すべきは夜襲。そう思ったが故にベッドに寝てると見せるよう、囮を置いて様子を見ながら起きていた比古清十郎達。



だからこそ予想通りの行動にジェイドは余裕の笑みを見せていたが、鎧の音を気にしてか鎧を外していて軽装に身を包むリーダーとおぼしき中年のキムラスカ兵士の怨敵を弾劾するような怒声にその目が鋭く細められる。
「・・・コイツらはいいように言いくるめられただけだ。時間が惜しい、さっさと気絶させるぞ」
「えぇ、そうですね」
・・・ジェイドの事を大分誇張して話し、その上で義侠心を奮い立たせるような形で殺しに行かせるように仕向けた。裏側がすぐに見えただけに比古清十郎もジェイドも後の事も考え気絶だけにとどめんと、二人は武器を構える。
「何をごちゃごちゃと・・・!」
‘ゴッ!’
「が、はぁっ・・・!」
「フン」
そんな二人に勢いよく斬りかかった兵士の一人だが、峰の部分が当たるよう刀を持ちかえ脳天に振り下ろした比古清十郎の一撃を受け兵士は床に倒れ込む。
「・・・どうした、来んのか?」
「っ!・・・くそっ・・・!」
軽く一人を倒してのけた比古清十郎の魂まで射抜かんばかりの視線に兵士は押されるが、引くに引けない兵士は破れかぶれに突撃していく・・・









・・・だが比較すれば力の落ちるジェイドだけならまだ行けたかもしれないが、比古清十郎相手に数人の兵士程度で歯が立つ訳もない。数分もした頃には兵士達は床に這いつくばる事となった。












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