時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話
・・・そして話も終えた所であてがわれた兵士の先導の下、ジェイド達は用意される部屋に足を伸ばす。
「・・・さて、仕掛けてくるとすれば今夜か明日辺りか?」
「それが妥当な所でしょう、あまり時間をかければマルクトから和平の書簡がこのバチカルに来るでしょうからね。手を打つとしたら、それくらいしか時間はありません」
「あんたもさりげに一週間とか言ってたから、まず焦ってくるのは間違いないだろうね」
・・・そのあてがわれた部屋の中、3人は入口から離れ小声で会話をする。
「使ってくる手法としては毒、か?」
「半々と言ったところでしょう。何も落ち度のない現状で下手に毒を使えば貴族の内部から不審を招く可能性がありますから、何かあったと思わせるためには実力行使の方が都合がいいですから」
「あんたの死霊使いって異名は何かバチカルで行動したって不思議じゃない、って思うには十分な異名だからね。そう考えれば安全に殺せるけど下手な噂がたちかねない毒殺か、何人か死ぬだろうけどそれで貴族に対しては誤魔化しのきく実力行使か・・・確かに半々って所だね」
その中身は極めて物騒極まりない物で、自身達をどう殺しにかかってくるかと3人は冷静に話し合う。
・・・本来であったならインゴベルト達、いやモースが描いたシナリオはアクゼリュスが消滅したところでマルクトの陰謀でルークが死んだと言いがかりをつけることで戦争に持ち込むという物だ。しかし今アクゼリュスは消滅せずルークも無事でいて、尚且つ和平の条件は満たされた事からこのままでは何もなければ和平は成功する事は必至。
ならばそうしないためにはどうすればいいか、という風に考えれば答えは何か和平を台無しにするような出来事を起こす以外になかった。その事をジェイド達は予想してこのバチカルに来た。
そしてその何か、とはマルクト側の人間であるジェイドが悪者のように見せれるような事である。とは言え今和平がなりかけているのに下手な事をしても和平の段取りは揺るがないし、和平することを渋ればキムラスカの民や貴族からもいぶかしむ声が出る。故にジェイド達は今この場にいる自分達を策謀により殺す以外にうまくいかせる方法はないと、時間がないことからそこに行き着く事を確信していた。
「・・・まぁどちらでもいいんじゃない?それより問題はあの王女殿下、じゃない?」
「えぇ、彼女が偽者と知っているかどうか・・・で話が変わりますからね」
・・・しかし策謀があると知ってはいても、また問題は別にある。それはナタリアという存在にある。
「あの場でその事実を匂わせ反応を確認するのは流石に危険でしたからね。謁見の間での反応は彼女が戻ってきたことへの単純な驚きという可能性も否定出来ません・・・そう考えると、これから先の事は言ってみれば賭けですよ?」
「賭け、か。フン、そんな大層な物か。知られていないならそれで構わんし、知っていてそれを使ってくるなら・・・ただ、潰すだけだ。最もそれ以降は俺は知らんがな、今はいつヤツらが仕掛けてくるかだけが重要だ」
「・・・そうですね」
未だはっきりとわからないナタリアが偽者という事実をインゴベルト達が知っているかどうかという疑問。だが悩む二人と対称的に既に割り切った様子で自分の答えを明かす比古清十郎に、ジェイドは少し吹っ切れたように軽い笑みを浮かべた。
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「・・・さて、仕掛けてくるとすれば今夜か明日辺りか?」
「それが妥当な所でしょう、あまり時間をかければマルクトから和平の書簡がこのバチカルに来るでしょうからね。手を打つとしたら、それくらいしか時間はありません」
「あんたもさりげに一週間とか言ってたから、まず焦ってくるのは間違いないだろうね」
・・・そのあてがわれた部屋の中、3人は入口から離れ小声で会話をする。
「使ってくる手法としては毒、か?」
「半々と言ったところでしょう。何も落ち度のない現状で下手に毒を使えば貴族の内部から不審を招く可能性がありますから、何かあったと思わせるためには実力行使の方が都合がいいですから」
「あんたの死霊使いって異名は何かバチカルで行動したって不思議じゃない、って思うには十分な異名だからね。そう考えれば安全に殺せるけど下手な噂がたちかねない毒殺か、何人か死ぬだろうけどそれで貴族に対しては誤魔化しのきく実力行使か・・・確かに半々って所だね」
その中身は極めて物騒極まりない物で、自身達をどう殺しにかかってくるかと3人は冷静に話し合う。
・・・本来であったならインゴベルト達、いやモースが描いたシナリオはアクゼリュスが消滅したところでマルクトの陰謀でルークが死んだと言いがかりをつけることで戦争に持ち込むという物だ。しかし今アクゼリュスは消滅せずルークも無事でいて、尚且つ和平の条件は満たされた事からこのままでは何もなければ和平は成功する事は必至。
ならばそうしないためにはどうすればいいか、という風に考えれば答えは何か和平を台無しにするような出来事を起こす以外になかった。その事をジェイド達は予想してこのバチカルに来た。
そしてその何か、とはマルクト側の人間であるジェイドが悪者のように見せれるような事である。とは言え今和平がなりかけているのに下手な事をしても和平の段取りは揺るがないし、和平することを渋ればキムラスカの民や貴族からもいぶかしむ声が出る。故にジェイド達は今この場にいる自分達を策謀により殺す以外にうまくいかせる方法はないと、時間がないことからそこに行き着く事を確信していた。
「・・・まぁどちらでもいいんじゃない?それより問題はあの王女殿下、じゃない?」
「えぇ、彼女が偽者と知っているかどうか・・・で話が変わりますからね」
・・・しかし策謀があると知ってはいても、また問題は別にある。それはナタリアという存在にある。
「あの場でその事実を匂わせ反応を確認するのは流石に危険でしたからね。謁見の間での反応は彼女が戻ってきたことへの単純な驚きという可能性も否定出来ません・・・そう考えると、これから先の事は言ってみれば賭けですよ?」
「賭け、か。フン、そんな大層な物か。知られていないならそれで構わんし、知っていてそれを使ってくるなら・・・ただ、潰すだけだ。最もそれ以降は俺は知らんがな、今はいつヤツらが仕掛けてくるかだけが重要だ」
「・・・そうですね」
未だはっきりとわからないナタリアが偽者という事実をインゴベルト達が知っているかどうかという疑問。だが悩む二人と対称的に既に割り切った様子で自分の答えを明かす比古清十郎に、ジェイドは少し吹っ切れたように軽い笑みを浮かべた。
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