時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話
「・・・大詠師の問題もあり、今のダアトに何かを求めるのは少し酷かと思われます・・・ですがアクゼリュス救援に関しては無事、全て終わりました。導師による仲介は今すぐは望めませんが、これで和平の条件は満たせましたのでそう遠くない内にピオニー陛下からも正式な和平締結の為の書簡がこのバチカルに送られてくる事でしょう」
「「・・・っ!」」
・・・その重要な事とは公的に和平をキムラスカとマルクトで結ぶこと。ジェイドはつらつらとその道筋に向け話を進めるが、対称的に目の前の二人は焦りを見せないように務めるが小さく息を呑んだのをジェイドは見逃さなかった。
・・・そもそも戦争という事態など、マルクト側はハナから望んではいない。だがキムラスカ、いやインゴベルトにファブレ公爵は少なくとも間違いなく預言に詠まれた戦争をして勝った後の繁栄を望んでいる。
だがそれを出来ない状況に仕立てあげればどうか?少なくともマルクト側に戦争に至るような不祥事がなかったらどうか?・・・そうなれば必然的に残る結末はキムラスカ側からの言いがかりによる無理矢理な戦争が始まるか、和平を仕方なく受けるかのどちらかくらいしかなくなる。
しかしマルクト側は例え預言に詠まれた形で始まる戦争でなくても戦争などしたくはない。預言に詠まれたとなれば負ける可能性が例えアクゼリュス消滅が原因でなくとも、キムラスカより高い可能性がある故に。だからこそ戦争は絶対に回避しなければならない、そして和平に話を持っていかなければならない。
だが一朝一夕にそんなことがうまく行くはずがないとジェイドは考えているからこそ、まずは『表』を上手く通そうとしているのだ・・・
「・・・恐らくは遅くともこの一週間程度で書簡は送られてくるでしょう。そうなれば無事に和平を締結していただけるでしょう」
「一週間・・・それだけ待てばキムラスカとマルクトの和平がなるのですわね!」
「はい、ナタリア殿下。送られてくる書簡には導師も署員をしてくださるでしょうから、その書簡にインゴベルト陛下が署名してくだされば晴れて和平締結となります」
「「・・・っ!」」
そんな焦る二人を尻目に続けた声に反応したナタリアに笑みを持ってジェイドが返せば、二人の顔色に焦りが一瞬浮かんだ。
・・・ピオニーから送られてくるであろう書簡、これはジェイドがキムラスカを黙らせる為にピオニーに和平の条件を表向きは満たしたのだからという体で使う為に要請した書簡である。ピオニーから明確にその書簡を送るとの返答はもらってはないが、ジェイドはマルクトの命運がかかっている事とこの件に関して全権を委託されているので確実に送られてくるだろうと確信していた。
「・・・・・・成程、そちらの言い分はよくわかった。ならば部屋を用意する故ゆっくりと休まれるがよい、まだ書簡が来るには少し時間があるとのようだからそれまではこの城で過ごされるがよい」
「・・・お気遣いありがとうございます」
・・・精一杯時間を短くも最大限に使い、考えたのだろう。間というには少し長い間を空け、王らしく勤めあげ威厳を持ち城に留まるように言い放つインゴベルトにジェイドは深く頭を下げる。
・・・その言葉を引き出せた事が成功だと、口元を軽く弛ませながら。
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「「・・・っ!」」
・・・その重要な事とは公的に和平をキムラスカとマルクトで結ぶこと。ジェイドはつらつらとその道筋に向け話を進めるが、対称的に目の前の二人は焦りを見せないように務めるが小さく息を呑んだのをジェイドは見逃さなかった。
・・・そもそも戦争という事態など、マルクト側はハナから望んではいない。だがキムラスカ、いやインゴベルトにファブレ公爵は少なくとも間違いなく預言に詠まれた戦争をして勝った後の繁栄を望んでいる。
だがそれを出来ない状況に仕立てあげればどうか?少なくともマルクト側に戦争に至るような不祥事がなかったらどうか?・・・そうなれば必然的に残る結末はキムラスカ側からの言いがかりによる無理矢理な戦争が始まるか、和平を仕方なく受けるかのどちらかくらいしかなくなる。
しかしマルクト側は例え預言に詠まれた形で始まる戦争でなくても戦争などしたくはない。預言に詠まれたとなれば負ける可能性が例えアクゼリュス消滅が原因でなくとも、キムラスカより高い可能性がある故に。だからこそ戦争は絶対に回避しなければならない、そして和平に話を持っていかなければならない。
だが一朝一夕にそんなことがうまく行くはずがないとジェイドは考えているからこそ、まずは『表』を上手く通そうとしているのだ・・・
「・・・恐らくは遅くともこの一週間程度で書簡は送られてくるでしょう。そうなれば無事に和平を締結していただけるでしょう」
「一週間・・・それだけ待てばキムラスカとマルクトの和平がなるのですわね!」
「はい、ナタリア殿下。送られてくる書簡には導師も署員をしてくださるでしょうから、その書簡にインゴベルト陛下が署名してくだされば晴れて和平締結となります」
「「・・・っ!」」
そんな焦る二人を尻目に続けた声に反応したナタリアに笑みを持ってジェイドが返せば、二人の顔色に焦りが一瞬浮かんだ。
・・・ピオニーから送られてくるであろう書簡、これはジェイドがキムラスカを黙らせる為にピオニーに和平の条件を表向きは満たしたのだからという体で使う為に要請した書簡である。ピオニーから明確にその書簡を送るとの返答はもらってはないが、ジェイドはマルクトの命運がかかっている事とこの件に関して全権を委託されているので確実に送られてくるだろうと確信していた。
「・・・・・・成程、そちらの言い分はよくわかった。ならば部屋を用意する故ゆっくりと休まれるがよい、まだ書簡が来るには少し時間があるとのようだからそれまではこの城で過ごされるがよい」
「・・・お気遣いありがとうございます」
・・・精一杯時間を短くも最大限に使い、考えたのだろう。間というには少し長い間を空け、王らしく勤めあげ威厳を持ち城に留まるように言い放つインゴベルトにジェイドは深く頭を下げる。
・・・その言葉を引き出せた事が成功だと、口元を軽く弛ませながら。
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