時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話
「・・・よくわかったよ、あんたが軽く騙すくらいならって言った意味が」
「それはよかった」
・・・そして場所が変わりバチカルに向かう船の中、シンクは甲板でジェイドに先程のやり取りの意味を理解しナタリアに呆れたと言わんばかりの声を向けていた。
「あの女、オブラートに包んだって馬鹿でしょ。あんたが次代の王を大切にするのは当然って言ったのをそれが王族どころか、身分が下も下でいいところの兵士や使用人風情と同格に扱ったみたいに取れることを言ったんだよ?普通だったらそんなこと有り得ないとしか言いようがないじゃないか、百歩譲って親善大使の身柄は大事でも使用人や兵士なんてそれこそ王族なんかの上にいる立場の人間の為に率先して動かなきゃなんない人種なのに・・・それに大体あんたもアクゼリュスに行って一応無事だったんだから、尚更そう言った怠惰な態度にムチを入れるべきなんじゃないの・・・なんだよ、あれ・・・?」
「お気持ちは察しますよ、あんな方だから私もあぁしましたが正直彼女には王族としての自覚が足りないとは前々から思ってましたから」
そしてそのまま理解出来ない生物を見たと言わんばかりに強調していた部分を交えて言葉を吐き捨てたシンクに、ジェイドも呆れつつもオブラートに包む気の全くない本音で返す。
「しかも僕が元々敵だったことも知ってるはずなのに、拘束具も見張りの兵士もつけずにいることを疑問に思わないなんて何を考えてるのさ・・・?」
「何も考えてないと思いますよ。物事の裏や背景の事など全く考えずアクゼリュスについてきた彼女の事ですから、降伏したと聞き貴方の事をよく知らないのもあり心から投降したと思ったのでしょうね」
「・・・本当に救いようのない馬鹿だよね・・・」
それで尚続けたシンクの同行の訳を説明した時の事を思い出し、二人は心の底からその行動の在り方を非難めいた声で語る。
・・・ナタリアがシンクの同行の嘘の言い訳を聞いたとき、「あら、そうですの!」の一言を感嘆しながらあげたことでシンクは唖然としかけた自身を精一杯奮い立たせ、平静のように務めて返した。だが疑う素振りすらなかったその態度に、はっきりとシンクは思った。これは馬鹿だと。
「・・・ねぇ、本当にあの馬鹿を助けるつもり?こう言っちゃなんだけどあれを利用されたら状況が悪くなる光景しか目に浮かばないんだけどさ・・・」
「まぁそれは多いに有り得るでしょうね。彼女はまず我々の思うようには動いてはくれないでしょう。とは言え腐っても王女は今の彼女です、それを忘れて無体な事はしませんし出来ませんよ・・・まだ、ですがね」
「・・・ふーん、ならいいさ」
その上で更に毒の増した会話の中でジェイドはいざというときは辞さないと暗に示し、シンクもそれならと反論はしない。
・・・そんな自身に関する悪評がひっそり二人の間で話題に上がっていることなどナタリアは露知らず、一路船はバチカルに向かった。
・・・そして数日後トラブルもなく、船はバチカルの港へと辿り着いた。
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「それはよかった」
・・・そして場所が変わりバチカルに向かう船の中、シンクは甲板でジェイドに先程のやり取りの意味を理解しナタリアに呆れたと言わんばかりの声を向けていた。
「あの女、オブラートに包んだって馬鹿でしょ。あんたが次代の王を大切にするのは当然って言ったのをそれが王族どころか、身分が下も下でいいところの兵士や使用人風情と同格に扱ったみたいに取れることを言ったんだよ?普通だったらそんなこと有り得ないとしか言いようがないじゃないか、百歩譲って親善大使の身柄は大事でも使用人や兵士なんてそれこそ王族なんかの上にいる立場の人間の為に率先して動かなきゃなんない人種なのに・・・それに大体あんたもアクゼリュスに行って一応無事だったんだから、尚更そう言った怠惰な態度にムチを入れるべきなんじゃないの・・・なんだよ、あれ・・・?」
「お気持ちは察しますよ、あんな方だから私もあぁしましたが正直彼女には王族としての自覚が足りないとは前々から思ってましたから」
そしてそのまま理解出来ない生物を見たと言わんばかりに強調していた部分を交えて言葉を吐き捨てたシンクに、ジェイドも呆れつつもオブラートに包む気の全くない本音で返す。
「しかも僕が元々敵だったことも知ってるはずなのに、拘束具も見張りの兵士もつけずにいることを疑問に思わないなんて何を考えてるのさ・・・?」
「何も考えてないと思いますよ。物事の裏や背景の事など全く考えずアクゼリュスについてきた彼女の事ですから、降伏したと聞き貴方の事をよく知らないのもあり心から投降したと思ったのでしょうね」
「・・・本当に救いようのない馬鹿だよね・・・」
それで尚続けたシンクの同行の訳を説明した時の事を思い出し、二人は心の底からその行動の在り方を非難めいた声で語る。
・・・ナタリアがシンクの同行の嘘の言い訳を聞いたとき、「あら、そうですの!」の一言を感嘆しながらあげたことでシンクは唖然としかけた自身を精一杯奮い立たせ、平静のように務めて返した。だが疑う素振りすらなかったその態度に、はっきりとシンクは思った。これは馬鹿だと。
「・・・ねぇ、本当にあの馬鹿を助けるつもり?こう言っちゃなんだけどあれを利用されたら状況が悪くなる光景しか目に浮かばないんだけどさ・・・」
「まぁそれは多いに有り得るでしょうね。彼女はまず我々の思うようには動いてはくれないでしょう。とは言え腐っても王女は今の彼女です、それを忘れて無体な事はしませんし出来ませんよ・・・まだ、ですがね」
「・・・ふーん、ならいいさ」
その上で更に毒の増した会話の中でジェイドはいざというときは辞さないと暗に示し、シンクもそれならと反論はしない。
・・・そんな自身に関する悪評がひっそり二人の間で話題に上がっていることなどナタリアは露知らず、一路船はバチカルに向かった。
・・・そして数日後トラブルもなく、船はバチカルの港へと辿り着いた。
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