時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話

・・・そして湧水洞からダアトの港に戻ったルーク達は、ケセドニアに戻る船に乗った。

そしてその船にて・・・






「・・・成程、この際あの阿呆姫をどうするかの試金石にするわけか。バチカルに行くことで」
「えぇ、いけませんでしたか?」
「いや、そうした方がいいだろう。阿呆とは言え今の時点ではどちらにつくかわからんからな。早い内に見極めておいて損はないだろう」
・・・ジェイドと比古清十郎は船の先の甲板にて話をしていたが、比古清十郎はジェイドの考えに納得していた。
「とは言えヤツがキムラスカの王女殿下には代わりはない上、あの阿呆ではこちらの望むような事をしない可能性の方が高い。一応その可能性の方を考慮した方がいいぞ」
「でしょうね・・・まぁその時はその時ですよ、そう言った事態を考えてない訳じゃありませんので」
しかし二人に共通しているのはナタリアが使える可能性の方が無いだろうという思い。そんな事があるために二人は余程でなければナタリアを見捨てる事に躊躇はしないと、互いに互いで示しあった。









・・・そんな会話がされていたことなどルークは知るよしもなく、船はケセドニアへと辿り着いた。



「さて・・・セカン。ルークとディストは頼みますよ」
「はい・・・では行きましょう」
「「あぁ(はい)」」
マルクト側の港から降り街中に入ると早速とセカンに二人を頼むようにジェイドが言えば、二人も特に反対するでもなくすんなりセカンの後に付いていく。
「さぁ、次はキムラスカの大使館に行きましょう。ナタリア様はいるなら大使館でしょうからね」
「あぁ」
「・・・・・・ねぇ、二人とも。ちょっと言いたいことがあるんだけど」
「・・・なんだ、言ってみろ」
その光景を見届けジェイド達もすぐさま大使館の方に向かい出すが、一人シンクは何とも言えないように口を歪めて立っていたが口を出さずにはいられなかったようで二人に真剣に話しかける。
「・・・ここじゃちょっと話しにくいから、宿にでも行こう」
「・・・えぇ、わかりました」
比古清十郎はその様子に少し不可解なように眉を曲げて説明を求めたが、シンクが周りを気にして場を変えると言ったことにジェイドも何かを感じたのかその声に了承を返し、一同はジェイドを先頭に宿へと向かう・・・












・・・そして宿の一室を使わせてもらうことになり、ジェイド達はその部屋に入室する。
「ここには人の目はありません、どうぞ話してください」
「・・・これはあくまでももしかしたら、程度に聞いてね。これを覚悟するかしないかで、大分展開が変わってくるから」
「「・・・」」
入室するなり話をさっと振ってきたジェイドにシンクは深刻な声色で前置きをし、対面する二人に緊迫した空気が流れる。
「まずは、だけどさ。あんた達は今のナタリア殿下の髪の毛の色に、疑問を持ったことはない?」
「髪の色?・・・キムラスカ王族の特色の赤い髪ではないことは確かに不思議には思いましたね、既に崩御された女王は黒い髪の持ち主だとお聞きしましたし・・・」
「・・・もしや言いたいこととはあの阿呆姫の出生の秘密か?」
「うん、そうだよ」
そしてまずはと開始した話だがジェイドも比古清十郎も既にその時点である程度結論を察したのか、先を読んだ声を向けられシンクは理解の早い二人にあっさりとした声でそれを肯定する。



「そこまでわかってるんならもうグダグダ言わないよ。あの『ナタリア殿下』は偽者だ。それも預言で詠まれた役目を背負わされたね」



「・・・何?」
だからこそ長引かせずに言うべきだと判断したシンクは単刀直入に切り出した、ナタリアは預言により詠まれた偽者だと。その事実に比古清十郎の眉間に一気に深いシワが刻まれた。










7/30ページ
スキ