時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話

「・・・・・・そうでしたね。そう言えば貴方が『ルーク』として生きる以上、ナタリア様とは向き合わなければいけませんでしたね」
・・・そしてどうにか話を切り込まないといけないと考えたのか、ジェイドが少し失念していたと言ったように話し出す。
「とは言え、です。今から貴方がすぐケセドニアでナタリア様と会うのは多少キツいものがあると思われます。ですので貴方はケセドニアに行きましたらすぐに我々と別れ、ベルケンドに向かってください。セカンにディストと共に。もし彼女に貴方の姿を見られれば、なし崩しにバチカルに共に行こうと言い出すでしょうからね。そうなれば貴方がきついのもありますが、こちらがまずくなります」
「・・・あぁ、わかった・・・けど、ナタリアは大丈夫なんだよな?」
「えぇそれは。向こうも余程でなければナタリア様を排除にはかからないでしょうし、別に我々も彼女を害する気はありませんから。もし何かあっても彼女自身が我々に弓引かない限りはお守りしますよ」
「そうか・・・」
それでジェイドは丁寧に述べ上げてはいるが実質後に回す物。しかしちゃんと理由がついているためにルークは特に反発は見せなかったが、反面でナタリアを心配する声を向ける。その声にナタリアをわざわざ害する意味のないジェイドは本心からの答えを微笑を浮かべて返せば、ルークもようやく安心したのかホッと頭を下げる。
(・・・私としたことがすっかり忘れていましたね、ナタリア様の存在を・・・)
その姿を見てジェイドは眼鏡を押さえつつ、比古清十郎から出てきたナタリアの存在があったのを忘れていたことをらしくないと感じていた。
(ただ彼女はこれからの展開上、放っておいた方が後々面倒になりかねませんからね。この際ですから彼女が敵になるか味方になるか、それを見届けるのも悪くはありません。味方になればそれでよし、敵になれば・・・まぁその時は潔く表舞台から消えていただきましょうか。ルークには些か悪いですがね)
だがそれも思い返せばチャンスでもある、ナタリアが自身達にとってどういう存在となるかの。そしてその結果次第では心中でも言葉を濁してはいるが確かにジェイドは考えていた・・・ナタリアを始末することを。
(彼女の性格からして私達に協力するかは私達がいかに高潔な志であるかを高尚に聞こえるように言えるかが鍵になりそうですが、カクノシン氏はそう言ったことを言うとは思いませんし我々の行動が意に沿わなければ彼女は平気で罵ってくるでしょうから・・・まぁ味方にしてもそんなにメリットは無さそうですから、別にあえて引き込む必要はないでしょうね)
その上で今までの行動パターンから見て是が非でもこちら側に引き込む程のメリットまではないと、ジェイドは流れのままにいこうと決めた。
(この事は後でカクノシン氏にも話してはおきましょう、とりあえず今は・・・)
「さぁ、そうと決まったらケセドニアに戻りましょう。ケセドニアで待ってるフリングス少将の為でもありますが、何をするにしてもケセドニアに行かねば始まりませんからね」
「あぁ、行くか」
そんな内心など露にも見せず場の空気を見計らいケセドニア行きを切り出せば、比古清十郎が頷きさっさと歩き出した事で一同その後を付いていく・・・







6/30ページ
スキ