時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話

・・・来た時同様ローレライ教団員と言った風に振る舞いながらそそくさとジェイド達は立ち去った、今も湧水洞の前にいるだろう比古清十郎の元に行くため・・・









そしてアラミス湧水洞の前に辿り着いたジェイド達。そこには入口の近くの壁に背を預けていた比古清十郎。
「戻ったか・・・首尾は?」
「障気をどうにかする技術ならこの中に。ですがまた少し問題が・・・」
「・・・何だ?」
「・・・実は・・・」
ジェイド達を見て確認を取る比古清十郎だが、禁書を持ちながら難しい顔をされたことに嫌な予感を覚え顔を険しくしながら先を問う・・・









「・・・という訳です」
「・・・時間か安全のどちらを取るか、そういうことか」
・・・ジェイドから一連の流れを聞き終わった所で、比古清十郎も難しいと表情に変わる。
「現状でどちらも取れる、という選択はありません。ベルケンドに行き技術者に協力を願うセカンの案が妥当なんですが、あと一押し必要なのは否めません。故にどうするべきかがどうにも決まらず・・・」
「キムラスカがどうにも邪魔になる、という訳か・・・」
「はい・・・」
「・・・」
その上で改めて問題提起して悩むジェイドの姿に、比古清十郎もアゴに手を添え考え込む。
「・・・この辺りでキムラスカともケリをつけねばならんか」
「は・・・ケリを、ですか?」
「あぁ、遅かれ早かれいずれキムラスカに預言を実行させないようにするためにはきっかけがなければ話にならん。そのきっかけとしてケリをつけることが今必要だと俺は考えた。禁書を邪魔されることなく研究させこちらの手元に置くためにな」
「成程・・・一理ありますね、それが成功すれば以降はキムラスカの動きをそこまで警戒しなくてすむようになります」
そこからボソリと呟かれたケリという言葉に反応したジェイドに比古清十郎がその必要性を語れば、違った面からのアプローチに大層納得して頷く。
「ただそうするなら出来ればこれ以降に出来るだけ早くベルケンド及びバチカルに向かう必要があります。あまり長引かせても状況は悪くなっても良くはなりませんから。ただルークはバチカルには行かせられませんね。その姿があれば確実に捕縛にかかるのは火を見るより明らかです。そうなれば我々の手が及ばず・・・なんてことも有り得ます」
「っ・・・そうか、そうだよな・・・」
その上でその案に乗って話すジェイドだが、自身はバチカル行きは危険だと言われルークは悲しく辛そうにうつむく。
「しかしどうしましょうか・・・バチカルに行くにしてもルークは預言に詠まれているという身から危険なのはわかりますが、だからと言って我々に危険がないと限った話ではありません。むしろキムラスカ側は我々をいかにして始末するかを考えてくるでしょう。力押しをされたら不利になるのは正直こちらですからね、個々の力はいかに上だろうとも・・・それに下手に騒ぎだてすればそれこそマルクトに非があると言われ預言に詠まれたような戦争に発展しかねません、そこをうまく回避しながらバチカルの彼らの懐に飛び込むにはどうするべきか・・・」
たが危険なのはルークだけでなく自分達もで、そこには戦争のリスクも関わってくる。そんな色々な可能性の罠をかいくぐり自分達の思うようにするにはどうすればいいか・・・
「・・・なら1つ、手段が無いこともない」
「・・・ほう、その手段とは?」



「今ケセドニアにいるなら、になるがナタリアとか言ったか?あの馬鹿姫を共にバチカルに連れていけばどうにかなるだろう」








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