時代と焔の守り手は龍の剣 第十六話

・・・比古清十郎が影で動く中、ダアトに行ったルーク達は密かに障気を止められる可能性を求めて蔵書を漁っていた。






「・・・む、これですか・・・」
「ありましたか、ジェイド?」
・・・ダアトの一般教団員があまり入らないような奥の部屋にある図書館にて、変装用の教団員ローブのフードを深く被ったジェイドがとある本を見て反応したのを見てディストを始めにして皆が集まる。
「見てください、この中身・・・」
「・・・ふむ、確かに。この技術を使えば障気を抑えることは可能でしょうね。ただこの技術を実用化するには少々無理がないですか?詳しく調べるなら我々がやれば出来ないことはないでしょうが、それにも専門の施設なり設備なりが必要になります。出来ればこれは専門機関に預けた方がよろしいかと思いますが・・・」
「そうですね、我々にはまだやるべきことがありますし・・・ですがそれは少々難しいですね、マルクトに協力を仰ごうにもここからマルクトに戻れば時間がかかりますからね・・・」
そこから二人の会話になるが、ディストの最もな声にジェイドは少し考え込む。



・・・この禁書の発見、これ自体はそう一般的な場所に転がってないというのが分かっていたためそういった場所を探せば見つかるとはジェイド達はわかってはいた。それは実際に少し時間を取ったが見つかったからいいとしよう。

だがこの禁書の中身をうまく活用するにはどうしても今ある物だけでは、無理が生じてくる。研究ならジェイド達でも出来るが、研究用の場所に必要な設備に材料は今のタルタロスでの活動では不足があるのは否めなかった。

しかしだからと言ってマルクトに研究を任せようにも、ダアトからは位置的に見て遠いと言わざるを得ない。それに今ジェイド達は下手にマルクトに戻るわけにはいかないのだ、1つ手が遅れれば戦争が始まりかねないために。

・・・距離と時間。今の状況から見て下手な行動は取れない、故にジェイドは悩まざるを得なかった。どうするべきかと・・・



「・・・ならばちょっと私の言うことを聞いてみる気はありませんか?」
「・・・なんですか?」
するとディストが覗きこみながら自身を見てきたことに、ジェイドは聞くだけ聞いてみようと問い返す。
「何、少し我々はヴァンと行動していくにあたってヴァンはベルケンドを活動の拠点の1つとしていたんですよ。自身の立場とファブレ公爵と懇意に付き合っている事からね。それでベルケンドにはヴァンが使えると思いこちらに取り込んだ腕の確かな技術者がいるんですよ。ですからその技術者を足掛かりにすればマルクトに戻らずとも大丈夫だと研究はイケると思います」
「・・・成程、確かにそういった方にならこの禁書を託せるかもしれませんね。ですが正直今の現状で我々がキムラスカ領内に入れば、その情報がすぐにバチカルに漏れかねない。こんなことがあったと。そうなればその禁書の研究を有無を言わさず潰される、もしくは最悪禁書の研究内容もろとも禁書が取り上げられる可能性があります。そうなればマルクトの優位性は間違いなくなくなるでしょうね」
「む、むぅ・・・確かに・・・」
それでさも名案と言わんばかりに滔々と話をするディストだったが、ジェイドからあっさりとその通りにする危険性を持ち出され言葉を濁す。
「でも・・・どうするんだよ、ジェイド?そんなこと言ってたらまた時間足りなくなんだぞ?」
「・・・そうなんですよねぇ」
しかしそれでもディストの案は悪い線ではないと思ったのか、ルークが代案はあるのかと問えばジェイドはまた苦い顔で頭に手をやる。






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