時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話

「・・・あっ、ルークさんはあまり気にする必要はないですよ。あくまでも私が考えてる事ですから、重くとらえないでください」
「・・・あぁ、悪いな。んなこといきなり聞いちまって・・・」
「・・・大丈夫ですよ、気にしないでください」
そんなルークを気遣うようセカンは明るく務めて顔を覗き込むと、ルークはたまらず顔を背ける。その姿に必要以上のことは避けようと、セカンは気を使い一言残し先を歩き出す。
(・・・これから先を生きる気はないのかよ、セカンは・・・!・・・でも言いたいことも分かる、分かるんだよ・・・!・・・これから先、もしかしたら死ぬかもしれないって・・・そんななのに生きるなんて言えないってのは・・・)
そして一人ルークは歩く中、自分の心の中に沸き上がったセカンに対する考えに没頭して悲しくなっていた。
(もうこの預言に満ちた世界を変えるには想いだけじゃなく、力もないと変える事も出来ない・・・そしてその力と想いがあるのは、もうセカン達くらいしかいない・・・けどそれで、俺は世界が変わるのはいいけどセカンが死ぬなんて俺は・・・嫌だ・・・!)
・・・その心中にはセカンを失うことに対する恐怖、及びそれを否定したいという想い。
(・・・でも俺には力がない、セカン達を助ける為の力が・・・俺は何か、セカン達の為に出来ることはあるのか・・・?)
しかしそんな想いを持っていても、自分が出来ることは何なのか・・・それすら定まっていないことに、ルークは情けなく思い自覚をしてうつむく。
(・・・俺も、俺に出来ることを見つけなきゃなんない・・・このままじゃ、俺はセカンと胸を張って一緒にいることが出来ない・・・!)
だからこそルークは自身で何か出来ることはないか、それを模索しようと必死に考えることにした。それもセカンと一緒にいることを自然と目標とした形で・・・















・・・所は変わり、アラミス湧水洞入口。1人残っていた比古清十郎は刀を一振りして、鞘に納刀する。その足元には・・・
「これで終わりか」
比古清十郎が片付けたユリアシティの住民の死体が血溜まりを作り、バラバラに転がっていた。比古清十郎には一切傷はない、余裕で刀の血を振り払うその姿。
「・・・さて、行くか」
だがここで先程の話ならこの場に留まるはずだった比古清十郎は死体を一瞥することもなく、アラミス湧水洞の中に入っていく・・・









・・・何故比古清十郎は約束を交わしたにも関わらず、湧水洞の中に入ったのか?それはルークとセカンとシンクにディストには伝えてない、ジェイドとの間にだけ交わされた密約にある。

ならばその密約は何か、と言えばそれは・・・率直に言えば市長を殺す事だ。

・・・ジェイドに比古清十郎は考えた、ユリアシティはもし外郭大地降下を為し遂げたならどうやってもその存在は世界に明かしてしまうのは明白。その時預言を実行する監視役の役割を持つユリアシティがどう言った目で見られるかは、どちらかと言えば好意的だろうというのは二人には想像出来た。今の世の流れを考えて。それに外郭大地降下をしても尚預言に固執され、戦争に持っていかれたら元も子もない・・・故に二人は変にルーク達からその事を勘ぐられること、ルークが変に傷付かないようにと配慮をした上で市長を殺すことをあえて何も言わずに済ませたのだ。



・・・そしてそれは同時に市長の命脈が尽きた事にも、繋がった。












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