時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話

「とりあえずはもうここは出ましょう、これ以上ここにいる意味はありませんからね」
「あ、あぁ・・・」
そんな空気から早く行こうとあえて空気を読まずにジェイドが先を促せば、ルークは若干戸惑いつつ頷き一同はそれをきっかけに譜陣の中へと入っていく・・・















・・・そして譜陣を抜け湧水洞の入口まで戻ってきたルーク達。
「それでは俺はここにいる。用事がすんだらここに来い、下手に入れ違いを起こしてもつまらんからな」
「えぇ、わかりました。ではまた・・・」
「・・・」
そこで比古清十郎が入口前に立ち止まって残ることを口にすれば、ジェイドが一礼をしてさっと一同は去っていく。だがルークだけは少し何かを思う表情で比古清十郎を見ていたが、結局はジェイド達の後についていく為にその場を後にしていく。
「・・・さて」
そして1人残った比古清十郎は殺気を滲ませた鋭い視線を湧水洞の中に向ける、いずれ来るだろう刺客に備え・・・









・・・そんな比古清十郎を置いてダアトに向かうルーク達だが・・・
「・・・なぁ、セカン」
「どうしたんですか、ルークさん?」
その道中歩きながらルークは思うところを聞いてみようと、先を歩いていたセカンの横に寄り小さく声をかける。
「もし・・・もしカクノシンの所にユリアシティからの追手が来たら、カクノシンは全部殺すのか?」
「っ・・・そうすると思います。師匠は基本的に敵に対して容赦はないので」
「・・・やっぱり、か・・・」



・・・ふとルークに浮かび上がった疑問。先程はかわいそうだと思ったが、そもそも比古清十郎は殺さないつもりで戦う気はあるのか?



比古清十郎の性格を考え出した質問に一瞬戸惑ったものの正直に答えを返したセカンに、ルークは力なくも納得をしていた。
「・・・ルークさんに師匠と同じようにしろなんて言いません。いえ、ルークさんは師匠と同じように出来ないと思います・・・それにユリアシティの住人を放っておけば預言通りになる可能性が高いので、そんなことを見過ごす訳にはいきません」
「わかってる、わかってんだよ・・・だけどそうやって殺す以外に手段はないのかって思っちまうんだよ・・・」
「・・・ルークさんはそれでいいんです」
「えっ・・・?」
そこから手を汚さねば犠牲はより出るというセカンの話にルークは心が納得出来ないと声を絞り出すが、そんな心を肯定するセカンにルークは意外そうに目を瞬かせる。
「・・・ルークさんは師匠に私の剣の流派が預言を覆す為に開発されたと、聞きましたか?」
「あ、あぁ・・・」
「確かに志は立派な物です。けどこれは師匠も言っていましたが、所詮剣術なんてのはどう飾っても殺人術でしかありません。それは否定出来ません」
「・・・それは・・・」
「いいんです、何も言わないでください。これは師匠が私に語ってくれた事であり、私が思っている事なので・・・事実人を助けるために人を殺したことは何回もあります」
「・・・っ」
心の整理がつかないルークにゆっくりと自身の中にある考え方及び経験を語るセカン。その穏やかながらも確かな力のこもった語りに、ルークはどんどんと引き込まれていく・・・











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