時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話

「まぁそれで市長が取るだろう手段で最善と思われる手は我々を片付けた後、障気をどうにかする手段を見つけてからルークを引き連れアクゼリュス崩落を為して外殻大地の降下をしてから戦争に持っていく・・・が妥当な所です。話によれば外殻大地を降下させた後でパッセージリングを壊してもパッセージリングが壊れるだけで大地が魔界に堕ちて消え去るような事にはならないらしいですし、かといって下手に外殻大地の降下を長引かせてしまえばそれこそ他の外殻大地がいつ堕ちてしまうかわからない状況になりかねません。だからベストな選択はこうだと市長は思うはずですよ」
「・・・俺を利用するのか、あの人・・・」
「気にしない方がよろしいですよ、あの手の方はモースと同じで預言の為ならいかなる手も使う物です。それに第七譜石の中身を正直に言った所でまともに信じる訳がないから、ああやって挑発するようなことを言ったんです」
「・・・預言は信じるけど滅びの預言は信じたくない・・・だから言わない・・・なんでそんな都合のいい事しか見ようとしないんだろうな、人って・・・」
「・・・そんなものですよ、人とは・・・」
そこに重ねて市長が取るだろう展開を話すジェイドだったが、自身に関係のある問題になりルークは暗い面持ちになる。そこは大丈夫と言いはしてもルークは預言を信じる盲信の姿勢を崩さない市長に苦い想いを抱き、ジェイドもそれ以上は何も言えずに眼鏡を手で押さえながら言葉を濁す。
「・・・ただそんなことにしたくはないからこそ、貴方はこうやってここにいる訳でしょう。それはもう割り切っていただかないと、こちらも困ります」
「・・・あぁ、わかってるよ。それでこれからどうするんだったっけ?」
しかし空気を変えたかったのは二人共に一緒だったようで、ジェイドの割り切れという声にルークはわかったと言いつつもこれからの事を聞いてくる。
「とりあえず譜陣を抜けた後は湧水洞を抜けます。ですが確実に追手を差し向けてくるでしょう、市長は。だからカクノシン氏にはしばらくの間、湧水洞の入口に陣取っていただきます。それで我々はその後ダアトに行きます、手がかりを探すためにね」
「・・・障気をどうにかするための手がかり、か。ダアトにある可能性が高いんだよな、ディスト?」
「えぇまぁ。ダアトは預言にある技術こそ尊びますが、預言にない技術は認めませんからね。だからそういう預言に詠まれない技術は封印するべきだとダアトは技術の情報を集めては封印していたという話を聞いたことがあります。もしかしたら障気に関しての技術はないかもしれませんが、あるとしたら全世界の中でも昔からの情報も集めていたダアトにある可能性が一番高いと見てます」
その声に律儀に答えるジェイドに障気に関してはどうだとルークがディストに改めて問えば、その根拠をつらつらとディストは自信を持って語る。
(・・・つーか追手を抑える為にカクノシンって、何か相手がかわいそうな気すらする・・・)
「何だ?何か用か?」
「いや、なんでもねぇ・・・」
そこから追手を抑える役目を負った比古清十郎を見て話に聞いたその強さにルークは同情しかけるが、視線に気付き比古清十郎が反応したのに対しすぐに視線を反らす。








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