時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話
「こちらとしてもマルクト内の土地がことごとく魔界に落ちてしまえば、領地が失われ人々の命が失われるのもありますがパッセージリングの形状及びその特性上他の土地を支えるパッセージリングにまでその被害を及ぼすのは容易に想像が出来ます」
「他の、パッセージリング・・・?」
「あぁこのことは忘れてましたか?パッセージリングは確かに下からセフィロトツリーが持ち上げる形で成り立ってますが、同時にパッセージリングはリングという名の通りセフィロト同士を繋ぐ物となってます。そんなパッセージリングがあるセフィロトがホドで1つ失われ、またアクゼリュスにシュレーの丘と2つも失われたら先程言った衝撃の余波に加えその形状で保つと思われた強度が遥かにそれより劣化するのは目に見えてます。これが単なる金属の知恵の輪程度なら放っておいてもまず一朝一夕には壊れることなどありませんが、初めから角の欠けていて何かを支える事のない知恵の輪と違いパッセージリングはそんな単純な造りではありません・・・先程言ったでしょう、ヴァン謡将はパッセージリングの限界を知り遠くない内に全て魔界に堕ちると知ったからこそ行動を起こしたのだと」
「っ・・・っ!」
そこから改めてヴァンの取った行動の原理にパッセージリングの造りを述べれば、市長の息が一気に詰まらせる。ただ何故そんなにか、と言えば・・・
「だからこれ以上パッセージリングをいかなる大義名分を用いたとて、容易に壊されては困るんですよ・・・預言の為に外殻大地及び全人類の危険を招いてもらったら、ね」
「!」
・・・そう、外殻大地を預言の通りに壊してしまえばマルクトだけでなく世界全ての人々の危機を招いてしまうことだ。ジェイドの嫌味にも聞こえる実質的には単なる事実の指摘に、市長の時が眼を剥いた顔のまま止まった。
「我々としてはそのようなことで滅びたくありませんし、そもそも滅びの預言の為にマルクト共々死ぬ気など毛頭ありません。だからこそ我々は回避策を模索して動く気でいます・・・だから警告をしに来たんですよ、それを邪魔するなら容赦はしないと」
「っ・・・!」
そんな市長に尚脅迫をするよう自身らの意志を強調して言えば、顔自体は変わらない物のプルプルと体が震えている・・・流石に物理的で論理的な視点から出された結論など聞くどころか考える事も頭によぎることすらなかったのだろう、市長には衝撃が強過ぎるのは容易に想像がつく。
「・・・言いたいことはそれくらいです。お時間を取ってしまい、すみませんでした」
「っ!・・・まっ、待ってください!それは、外殻大地の崩壊は・・・避けられぬものなのですか!?」
「・・・そうですね・・・」
呆然とするその姿にさっさと退出しようと声を上げたジェイドに、市長は慌てて気を取り戻しどうしてもそうなるのかと聞いてくる。その様子にジェイドは少し考え込む。
「・・・お二人の話では外殻大地はしばらくの間、シュレーの丘が堕ちた後でも長くて数年程度なら持つとの事です。ただそうしない唯一の方法は外殻大地を崩壊する前に魔界に降ろすことですが、この魔界の現状ではそれこそ液状化した大地に飲まれるだけで根本的な解決になるとは言えません。だから現状何もしなければ崩壊は避けられず、預言通りにすればより一層早く崩壊の道筋を辿るだけでしょうね」
「っ・・・!」
そこから出たのは儚い希望を粉々に打ち砕く、現実しか見ない無慈悲な宣告。だがジェイドに取ってみればそれは承知の上の事で、市長の希望など知ったことではない。また顔を固まらせうつむいた市長に、ジェイドは冷酷に見下す瞳を浮かべながら眼鏡に手を添える。
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「他の、パッセージリング・・・?」
「あぁこのことは忘れてましたか?パッセージリングは確かに下からセフィロトツリーが持ち上げる形で成り立ってますが、同時にパッセージリングはリングという名の通りセフィロト同士を繋ぐ物となってます。そんなパッセージリングがあるセフィロトがホドで1つ失われ、またアクゼリュスにシュレーの丘と2つも失われたら先程言った衝撃の余波に加えその形状で保つと思われた強度が遥かにそれより劣化するのは目に見えてます。これが単なる金属の知恵の輪程度なら放っておいてもまず一朝一夕には壊れることなどありませんが、初めから角の欠けていて何かを支える事のない知恵の輪と違いパッセージリングはそんな単純な造りではありません・・・先程言ったでしょう、ヴァン謡将はパッセージリングの限界を知り遠くない内に全て魔界に堕ちると知ったからこそ行動を起こしたのだと」
「っ・・・っ!」
そこから改めてヴァンの取った行動の原理にパッセージリングの造りを述べれば、市長の息が一気に詰まらせる。ただ何故そんなにか、と言えば・・・
「だからこれ以上パッセージリングをいかなる大義名分を用いたとて、容易に壊されては困るんですよ・・・預言の為に外殻大地及び全人類の危険を招いてもらったら、ね」
「!」
・・・そう、外殻大地を預言の通りに壊してしまえばマルクトだけでなく世界全ての人々の危機を招いてしまうことだ。ジェイドの嫌味にも聞こえる実質的には単なる事実の指摘に、市長の時が眼を剥いた顔のまま止まった。
「我々としてはそのようなことで滅びたくありませんし、そもそも滅びの預言の為にマルクト共々死ぬ気など毛頭ありません。だからこそ我々は回避策を模索して動く気でいます・・・だから警告をしに来たんですよ、それを邪魔するなら容赦はしないと」
「っ・・・!」
そんな市長に尚脅迫をするよう自身らの意志を強調して言えば、顔自体は変わらない物のプルプルと体が震えている・・・流石に物理的で論理的な視点から出された結論など聞くどころか考える事も頭によぎることすらなかったのだろう、市長には衝撃が強過ぎるのは容易に想像がつく。
「・・・言いたいことはそれくらいです。お時間を取ってしまい、すみませんでした」
「っ!・・・まっ、待ってください!それは、外殻大地の崩壊は・・・避けられぬものなのですか!?」
「・・・そうですね・・・」
呆然とするその姿にさっさと退出しようと声を上げたジェイドに、市長は慌てて気を取り戻しどうしてもそうなるのかと聞いてくる。その様子にジェイドは少し考え込む。
「・・・お二人の話では外殻大地はしばらくの間、シュレーの丘が堕ちた後でも長くて数年程度なら持つとの事です。ただそうしない唯一の方法は外殻大地を崩壊する前に魔界に降ろすことですが、この魔界の現状ではそれこそ液状化した大地に飲まれるだけで根本的な解決になるとは言えません。だから現状何もしなければ崩壊は避けられず、預言通りにすればより一層早く崩壊の道筋を辿るだけでしょうね」
「っ・・・!」
そこから出たのは儚い希望を粉々に打ち砕く、現実しか見ない無慈悲な宣告。だがジェイドに取ってみればそれは承知の上の事で、市長の希望など知ったことではない。また顔を固まらせうつむいた市長に、ジェイドは冷酷に見下す瞳を浮かべながら眼鏡に手を添える。
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