時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話
「え・・・シンク殿、どういうことですか?」
「言葉通りの意味合いです、アクゼリュスまでもがパッセージリングが崩壊して外殻大地がその形を保てると考えているかをお聞きしているんです」
シンクからしてみればよく考え答えるよう言った質問だが、市長はその意図を深く考えようとする素振りはない。
「いや、それは保つでしょう。預言には外殻大地が崩れるなど詠まれていません。いきなり何を・・・」
「はぁ・・・そんな詠まれていないだとか考えることを放棄してるから、好き勝手許す結果になるんですよ」
「っ・・・何を・・・っ!」
あっさり間を空けず答えたその声にシンクが丁寧な毒舌を呆れも含ませ返せば、その険に市長は若干表情と声に怒りを滲ませる。
「・・・では預言とかを抜きにしてこれは例えでお聞きしますが、10角形の重い鉄板をその角に穴を空けて空いた穴を持って吊し上げるように糸を通し持ち上げたとします。その糸は固定された後は下手に動かさなければ、ある程度長い時間は強度を保って切れずに持ちこたえる位には強度があります。そこで1つまず問いますが、どれでもいいからその10個の糸の中から1個糸を切ったなら鉄板はどうなると思いますか?」
「・・・むぅ・・・よくはわからんが、1個糸を切った程度ではすぐには他の糸は切れないと思うが・・・」
「まぁそうですね、それが正解です。正確には吊し上げた糸が1個無くなった事で他の糸にバランスが崩れた分、負担がかかりますけど・・・重要なのはここからです」
その様子にシンクがらしくもなく例題を身ぶり手振りを交えながら出せば、怒りを納めつつ一応真面目に考え市長は妥当な答えを出す。その答えに補足をしつつ、シンクはここからが大事だと強く言う。
「ここでもう1つ、糸を切ったならどうなると思いますか市長?」
「・・・むぅ・・・切る位置にもよりますが、まだ鉄板は落ちないかと。恐らく他の糸には更に負担がかかるでしょうが・・・ですが先程から、一体何の意図があっておっしゃっているのですか?」
「・・・分かりませんか?その鉄板の例えは上から吊し上げてるか下から持ち上げているか程度の違いですが、外殻大地の事を指しているんですが」
「えっ・・・!?」
・・・何も重要な話をするときに一々関係ない話をするほど、シンクは冗談が好きな人間ではない。外殻大地との関連性があるからこそ出した例えだと言えば、心底から意外だと言わん反応をする市長にシンクの口元にわずかながら食い縛った白い歯が浮かぶ。
「・・・ホドにはパッセージリングがあった、それは貴方もご存知でしょう。そしてその地が消滅したことにより、外殻大地全体を支えていたセフィロトツリーの支えの内の1つも同時に無くしてしまった・・・それはわかりますよね?」
「えぇまぁ・・・」
「まぁセフィロトが1つ無くなったとて、まだ他のセフィロトは存在してるから他が力を発揮することで外殻大地は宙に浮き続けられる・・・それはいいでしょう。ですがその分の負担は確実に他のセフィロトに来ます、先程例えた鉄板を支える糸のようにね」
「・・・っ!」
怒りを押さえつつ段階を踏み話し先程の例えを交えたシンクの弁に、市長もようやく合点がいったのか驚愕に目を見開いた。
「いかに創世歴時代の技術をもってしても、物には寿命が来ます。ましてや世界を覆い尽くす外殻大地を支えるパッセージリングの内の1つが無くなれば当然、その分の他のパッセージリングの寿命も縮まります。その上上から吊し上げるのと違い、パッセージリングはセフィロトツリーによって下から支えられる形で成り立っています・・・そこでアクゼリュスまでもが消滅したなら、どれだけパッセージリングの寿命が他のセフィロトの消失で縮まると思いますか?市長」
「うっ・・・」
「また更に言うならセフィロトの位置の関係上、アクゼリュスまでもが消滅したならホドとアクゼリュスの中間地点に属すシュレーの丘のセフィロトが一気にその負担を増すことになります。そうなれば一番先に預言など関係無くルグニカ平野近隣の大地が崩落する、と私達の調べで明らかになってます」
「うっ、嘘だ!」
「現実逃避は許されませんよ、市長」
・・・セフィロトが1つ無くなればその分、パッセージリングの限界が早くなる。その上これから先はまた預言に詠まれてない事態で事が起こる、それも最悪の事態が。
シンクの現実のみを聞かせる話が続き市長は焦って首を横に振り話を否定するが、まだシンクの言うべきことは終わらない。
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「言葉通りの意味合いです、アクゼリュスまでもがパッセージリングが崩壊して外殻大地がその形を保てると考えているかをお聞きしているんです」
シンクからしてみればよく考え答えるよう言った質問だが、市長はその意図を深く考えようとする素振りはない。
「いや、それは保つでしょう。預言には外殻大地が崩れるなど詠まれていません。いきなり何を・・・」
「はぁ・・・そんな詠まれていないだとか考えることを放棄してるから、好き勝手許す結果になるんですよ」
「っ・・・何を・・・っ!」
あっさり間を空けず答えたその声にシンクが丁寧な毒舌を呆れも含ませ返せば、その険に市長は若干表情と声に怒りを滲ませる。
「・・・では預言とかを抜きにしてこれは例えでお聞きしますが、10角形の重い鉄板をその角に穴を空けて空いた穴を持って吊し上げるように糸を通し持ち上げたとします。その糸は固定された後は下手に動かさなければ、ある程度長い時間は強度を保って切れずに持ちこたえる位には強度があります。そこで1つまず問いますが、どれでもいいからその10個の糸の中から1個糸を切ったなら鉄板はどうなると思いますか?」
「・・・むぅ・・・よくはわからんが、1個糸を切った程度ではすぐには他の糸は切れないと思うが・・・」
「まぁそうですね、それが正解です。正確には吊し上げた糸が1個無くなった事で他の糸にバランスが崩れた分、負担がかかりますけど・・・重要なのはここからです」
その様子にシンクがらしくもなく例題を身ぶり手振りを交えながら出せば、怒りを納めつつ一応真面目に考え市長は妥当な答えを出す。その答えに補足をしつつ、シンクはここからが大事だと強く言う。
「ここでもう1つ、糸を切ったならどうなると思いますか市長?」
「・・・むぅ・・・切る位置にもよりますが、まだ鉄板は落ちないかと。恐らく他の糸には更に負担がかかるでしょうが・・・ですが先程から、一体何の意図があっておっしゃっているのですか?」
「・・・分かりませんか?その鉄板の例えは上から吊し上げてるか下から持ち上げているか程度の違いですが、外殻大地の事を指しているんですが」
「えっ・・・!?」
・・・何も重要な話をするときに一々関係ない話をするほど、シンクは冗談が好きな人間ではない。外殻大地との関連性があるからこそ出した例えだと言えば、心底から意外だと言わん反応をする市長にシンクの口元にわずかながら食い縛った白い歯が浮かぶ。
「・・・ホドにはパッセージリングがあった、それは貴方もご存知でしょう。そしてその地が消滅したことにより、外殻大地全体を支えていたセフィロトツリーの支えの内の1つも同時に無くしてしまった・・・それはわかりますよね?」
「えぇまぁ・・・」
「まぁセフィロトが1つ無くなったとて、まだ他のセフィロトは存在してるから他が力を発揮することで外殻大地は宙に浮き続けられる・・・それはいいでしょう。ですがその分の負担は確実に他のセフィロトに来ます、先程例えた鉄板を支える糸のようにね」
「・・・っ!」
怒りを押さえつつ段階を踏み話し先程の例えを交えたシンクの弁に、市長もようやく合点がいったのか驚愕に目を見開いた。
「いかに創世歴時代の技術をもってしても、物には寿命が来ます。ましてや世界を覆い尽くす外殻大地を支えるパッセージリングの内の1つが無くなれば当然、その分の他のパッセージリングの寿命も縮まります。その上上から吊し上げるのと違い、パッセージリングはセフィロトツリーによって下から支えられる形で成り立っています・・・そこでアクゼリュスまでもが消滅したなら、どれだけパッセージリングの寿命が他のセフィロトの消失で縮まると思いますか?市長」
「うっ・・・」
「また更に言うならセフィロトの位置の関係上、アクゼリュスまでもが消滅したならホドとアクゼリュスの中間地点に属すシュレーの丘のセフィロトが一気にその負担を増すことになります。そうなれば一番先に預言など関係無くルグニカ平野近隣の大地が崩落する、と私達の調べで明らかになってます」
「うっ、嘘だ!」
「現実逃避は許されませんよ、市長」
・・・セフィロトが1つ無くなればその分、パッセージリングの限界が早くなる。その上これから先はまた預言に詠まれてない事態で事が起こる、それも最悪の事態が。
シンクの現実のみを聞かせる話が続き市長は焦って首を横に振り話を否定するが、まだシンクの言うべきことは終わらない。
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