時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話

「・・・俺は今までずっと誰かに与えられてばっかりの生活をしてきた。今のファブレの立場がそうで、ずっとこんなの有り得ねぇって周りの状況が変わらないって俺自身が勝手に腐っていた事にアッシュとか師匠にお前らに気付かされた今、俺はファブレにいた時のようにしたくねぇんだ。真実を知れるってのにそれに目を背けて、安全な場所でのほほんとするような真似は・・・」
「・・・成程、昔の自分が許せないのもあるがそれ以上にケジメをつけたいんですね。昔の自分と」
「・・・あぁ」



・・・かつての自分、それは知らないのを言い訳に使っていた。だからそんなことはもうしたくないから、自分の禊として付いていきたい・・・



強い意志が込められた声にジェイドがその意思を確認すれば、ルークは間違いないと頷く。その答えにジェイドは1つルークと同じよう頷く。
「ならいいでしょう。ですが事実を口外すれば先程のような事態になるのもですが、今から予定していることは貴方にとって見るのも憚られるような事態を招くことになるのはまず間違いありません。その事は是非覚悟してください」
「っ・・・あぁ、わかった・・・!」
その意志は確認したからもう止めないが、言ったからには後の処理は自己でやること。脅しに近い忠告を送られたルークは一瞬言葉を詰まらせたが、それでも強い意志は変えずに了承を返す。















・・・数日前のタルタロス内で交わされた会話、それはルークの自立を周りが受け止めた瞬間であった。わがままとティア達から言われふて腐れることもあったが、そもそもルークの欲求というか望みは自分でわからないことを周りに言葉や語録が足らずにいただけであってそれは邪魔しなければ自立という成長に繋がるもの。だからこそ一人の時間で考えに考え、自分を見直していったルークの言葉は確かに外にも内にもわかるほどに力強さが伴っていた。

だがそれでもルークが影を落としていたのにはジェイドの言っていた、見るのも憚られるような事態・・・これが後に控えていることがあるからだ。



・・・その舞台となるのはアラミス湧水洞の中にひっそり一部の人間以外には知られずに佇む転移の為の譜陣の先にある、ユリアシティという街だ。



「ここか・・・」
「えぇ、そうですよ」
・・・湧水洞の譜陣を抜けた先、何かの建物の中にいることを確認したルークの声にディストが答える。
「ここは魔界にある唯一の街です。全体的に外殻大地上にある街などとは作りも根本的に違いますし、ここの存在意義はまた特殊な物ですからね。物珍しいとは思うでしょうがあまりこの街の住民にはそんなに積極的には関わらない方がよろしいですよ、貴方がアクゼリュスを滅ぼしていないとなれば何をされるかわかりませんからね」
「っ・・・わかったよ・・・」
今いる街の解説とともにどれだけルークにとって未知の危険が待っているのか、それをディストに言われルークは危機感を覚え重々に頷く。
「・・・アンタにしちゃ随分親切に警告をするじゃないか、ディスト」
「仕方ないでしょう、こちらとしても不意でも突かれルークに死なれでもしたらどういったとばっちりが来るかわからないんですから・・・」
「・・・まぁそれはわからないでもないけどね」
そんな中でシンクはディストに近寄り互いにしか聞こえない程度に話をするが、二人の視線は向けられてはいないが声は明らかに比古清十郎を意識して恐れを伴った物となっている。







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