時代と焔の守り手は龍の剣 第十五話

「ならいいでしょう、これより我々は貴方を『ルーク・フォン・ファブレ』としてキムラスカの次代の王になれるように外からですがサポートさせていただきます。よろしいですね?」
「あぁ、そうしてもらえるなら助かる・・・マルクトにとって都合がいいのが俺だってわかっちゃいるけど、今の俺じゃお前らにすがるしかねーんだ・・・だから、頼む」
「えぇ、お任せを」
ただそれ以上意志を確認しない代わりに協力体勢を取ると宣言すれば、ルークは打算がこもっていることを理解していると苦く言いつつそれを受け入れるよう言えばジェイドは丁寧に、真剣だとすぐに分かるよう頭を下げる。
「あぁ、済まない・・・けどお前ら、これ以上何をする気なんだ・・・?モースを殺したってだけでもすげぇヤバいことなのはわかんだけど、それ以上の事なんて俺には想像も出来ねぇんだ・・・だから俺にも教えてほしいんだ、お前達が何をやるのかってのをさ・・・」
「・・・これからやること、ですか」
ジェイドの頭を見て感謝の言葉を上げたルーク。だが今更ながらに聞くことを少し恐れながらもこれからの行動を問えば、ジェイドは頭を上げ冷静に声を上げる。
「・・・教えて差し上げるのは構いませんが、1つ約束していただきたい。モースの事も含めですが我々のやろうとしていることは公にされればそれこそ全世界を巻き込んだ戦争になりかねません、それも預言云々関係無くいずれかの3国が滅びかねない程のです。ですので聞きたいのであればこれから先の生涯で絶対にその中身を明かさず過ごす、ということを約束してください」
「・・・もしそれが出来ないとか、後でその事を言ってしまったら?」
「出来ないのであればモースの事と我々がやったであろうと予測がつくことを黙っていただければ結構ですが、もし話した場合はマルクトが戦争を仕掛けられるに値する口実を与えることになるのは明白ですのでキムラスカにダアトの隠しておきたい事実をこちらからも明かします。そうなれば一方的にマルクトが悪役になるのは避けれますからね・・・ただその場合は貴方が批難の矢面に立つのは避けられないでしょうね」
「っ!・・・そう、か・・・」
そのルークの疑問の声にジェイドはあくまでも冷静に紡ぎ上げる、先を聞くことへの覚悟及び中身を漏らした時の対応を。ルークは自身へも向けられたレプリカという立場からの不利に冷や汗を浮かべつつ、納得の声を上げる。
「さぁ、どうしますか?聞きますか、聞きませんか?」
「・・・聞くよ、どっちにしても黙ってないとまずいことになんだろ。だったらせめて俺は聞きたい、もうモースがカクノシンに殺されてることを知っちまったんだからこの際全部を・・・」
選択肢を上げてはいるがその実、黙る以外に安全な道はない。それを今までの流れから理解しているルークはジェイドの問いに覚悟を決め、ならばと聞くと言う。だがルークはそこでは終わらない。
「ただ・・・出来ればお前らのやろうとしてることを聞くだけじゃなくて、出来る限り連れてってくんねーか・・・?」
「・・・それはまた・・・何故ですか?」
「・・・逃げたくないんだ」
続けた中身はまた儚くも強い意志を込めた問いかけ。ルークのその様子にジェイドが意外そうに目を瞬くが、ルークはブレずにジェイドを見据える。









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