時代と焔の守り手は龍の剣 第十四話

「・・・ふぅ」
「お疲れ様です、陛下」
「あぁ」
・・・その後体調を崩したイオンを兵士が気遣うよう連れて退出したのを見届け、ピオニーが疲れを息に乗せれば邪魔をすまいと横にどいてジッとしていたゼーゼマンが近づき気遣いの声を上げる。
「どうでしょうか、導師は?」
「あまり以降に入ってくる情報は導師に伝えないようにしろ、一々反応させればなだめすかすのが面倒になる。あの様子を見る限り敵にはならなくともこちらに無条件でなびく事はないだろうからな」
「わかりました、以降見張りの兵士には極力話はしないように厳命します。それでですが、以降導師から謁見の取り次ぎがあった場合はいかにしますか?」
「それは忙しいとでも言って適当に断るようにしておけ、理由は今言った通りだ」
「わかりました」
そこからイオンの事を聞いてくるゼーゼマンにピオニーは以降はもう関わらせるなとはっきり告げ、ゼーゼマンも何の淀みもなく了解を返す・・・ゼーゼマンもイオンに非情さと冷静さを求めるのは酷だと思ったのだろう。
「とりあえずその事を導師の部屋の担当になる兵士達に通達してこい、ゼーゼマン。俺は自分の部屋に戻るから、後は自身の業務に取りかかれ」
「はっ、では失礼します!」
そんなゼーゼマンにピオニーが命令を下せば、敬礼を返しゼーゼマンは退出していく。












・・・そしてピオニーも自分の部屋に戻ると、普段やっていることであるはずのペットのブウサギ達を愛でて撫でる事も忘れ天を仰ぎ見る。
「ふぅ・・・当面はこれでいい、後はジェイドの成功したという報告を待つばかりか・・・」
その口からは先程までの冷厳さとは違い寂しげな響きを含ませた声が溢れる。
「・・・レプリカ技術、か。因果な物だな、幼い頃に自ら確立した理論が時を越えてサフィールとともに甦ってくるとはな・・・」
・・・ピオニーは幼き日のジェイドにディストの事をよく知っている、だからこそそのレプリカ技術という物がどんな物なのかもよく知っている。
「・・・だからこそ向き合わねばいけないんだろうな、過去のツケと・・・少なくともジェイドはそうしてる、ルークと向かい合うと決めサフィールを捕らえた今・・・俺もいずれ・・・」
そしてどんなものか知っているだけに封印の必要性をよく理解出来る、その為には目を反らす事は許されない・・・ピオニーは自身にとってもつらいだろう決断を強いられる事を想像し、皇帝として見せる事の出来ないとても苦く苦しい顔を浮かべた。自らの足元で心配そうにブゥブゥ声を上げるブウサギにも気付けないまま・・・















いかに位が高かろうと、罪があろうと所詮人に変わりはない



人の位に貴賤を決める判断基準はまた、人の中にある



その判断基準の中で好ましいと思われる行動は自らを律し戒める姿勢を周りに示せる心にある



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