時代と焔の守り手は龍の剣 第十四話

「・・・それで話は終わりか?」
「・・・いえ、最後に1つ・・・ルークは今はどうしているんですか?」
「ルークか・・・」
そこで最後にしろと言わんばかりにピオニーが終わりかと問えば、イオンはルークの事を最後に聞かせて欲しいと言い出す。
「ルークは本人のたっての希望で今ジェイド達の所にいる、心配する必要はない導師」
「え・・・ジェイドの所に?何故そんな・・・」
「さぁな。聞いた話によれば大分思うところがあったみたいだとジェイドの報告にあったそうだ・・・まぁさした実害を与えるとも思えないから大人しくするならという条件で側に置いているそうだがな」
「・・・そうですか・・・でも何故ルークはそんなことを・・・」
「・・・さぁな・・・だがアッシュよりは逃げるような可能性は確実に低いだろうから、ジェイドも許可したんだろうな」
「アッシュ・・・」
その声にルークのいる場所を答えるが、そんな行動をいぶかしむイオンにピオニーはアッシュの事を引き合いに出しつつも少し思うところがあったのか間を空けてしまう。だがアッシュと引き合いに出されたイオンはまた顔を暗くする。
「・・・やはりアッシュはこのまま出されないのですか、このグランコクマの牢から?」
「それこそ聞くまでもない、出せなどと願うだけでもしたならアニス達の件も合わせて宣戦布告してもいいくらいだぞ導師。むしろ戦争のきっかけとして使わないだけマシだ」
「・・・そうですか」
だが流石にアッシュを庇うのは無理だと今までから自身で感じていたのだろう、即答で辛辣に戦争にまでいくと言われイオンからは何の反論も出て来ないでうなだれるばかり。
「話を聞けば聞くほどマルクトに対しての敵対行動のオンパレードだからな、アッシュを放せば何をするかわからん・・・いや、何も姿を見せずにいてくれるならまだいい。だが全てをこちらが終わらせた上でアッシュがキムラスカと和解して、どんな顔でも顔を出したならそれこそこちらから開戦を宣言するのも辞さん。アッシュが顔を出すと同時にマルクトに無条件の全面降伏をするなら話は別だがな」
「・・・事実、それだけの事をしているからですか・・・」
「そうだ」
その上でアッシュをどれだけ敵としてしか見ていないのかを語られ、イオンもマルクトにしでかしたことがあるために何も言えずにいる。
「まぁ顔を見たいなら一回二回程度なら会わせてやってもいいが、早く申し出てくれ・・・あまり遅かったら処刑し終えた後、という事になりかねんがな」
「っ・・・はい、分かりました・・・」
その代わりと言っては、と言うにはあまりに物騒なアッシュの処刑をそう遠くない内に行うとピオニーはあっさり言い放ち、イオンは何とも言えずに首を縦に力なく振る。
「・・・さて、最後に1つと言ったからにはもう何もないか?」
「・・・えぇ、まぁ・・・」
「なら部屋に戻られるがいい、先程の第七譜石を詠んでから体調はまだ厳しそうだからな。ゆっくり休むことだ」
「はい、わかりました。ありがとうございます・・・」
ルークについでにアッシュの事も言い終わった事で、もう話はないだろうと言えば歯切れが悪いながらもイオンはうなずく。その答えに間を空けず休むようピオニーが勧めれば、流石に張り詰めた中でいたのも手伝ってか急にまた疲れを増したよう頷いた。








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