時代と焔の守り手は龍の剣 第二話

「いえ。それより僕はもうこれで失礼します。そろそろ戻らなければアニスにジェイドに心配かけるでしょうからね」
そんなセカンに謝りつつ戻ることを述べるイオン。するとその言葉にセカンは一瞬ハッとして、すぐに表情を元に戻す。
「そういえば導師は何故このエンゲーブに来られたんですか?見た所マルクトの軍人さん達と一緒のようでしたけど・・・」
「えっと、それは・・・すみません、言えないんです」
セカンはさりげに質問を繰り出す。が、イオンは返答を詰まらせると申し訳なさそうに言えないと間を空け返す。
「・・・わかりました。お呼び止めしてすみませんでした」
「いえ・・・それでは」
その不自然さをあえて追及せずセカンは頭を下げ、イオンは一言残すとそのまま村の中へと消えていく。



(導師は何か重要な役目を負ってる、それは間違いない・・・)
その姿を見送りながらセカンは考えていた、先程の会話からこれよりどうするかを。
(ジェイドって、確か皇帝の懐刀って呼ばれるジェイド・カーティスよね?そんな人物と共に行く場所・・・もしかすると、キムラスカ?アクゼリュスはマルクト側からは通れないって言うし・・・導師について来てもらわなければいけない理由はそれくらいしかないし・・・よし、予定は早くなっちゃうけど・・・)
セカンは考えをまとめると、ローズおばさんへと振り向く。



「すみません、ローズさん。もう少しここにいようかと思ったんですけど、あまり長く居すぎても師匠の目が厳しくなるので明日にはもうここを出立したいと思います」
「あら?また随分と急ねぇ・・・」
「すいません・・・」
思い立ったが吉日ではないが、思い至った決断の為早くエンゲーブを離れたいセカン。だが少し困り顔のローズおばさんを見て、セカンは済まなそうに顔を歪める。
「ミュウ・・・ミュウ達も困るですのー。まだミュウ達ライガさん達の住家を見つけてないですのー・・・」
そして話を聞いていたミュウもすごく悲しそうな表情でセカンに話しかける。
「そう言わないの。セカンちゃんにも事情があるんだからね」
「ローズさん・・・」
しかしそんなミュウをなだめるよう、膝を屈めつつローズおばさんは声をかける。
「わかったわ、セカンちゃん。カクノシンさんも厳しい人だし、早く帰って安心させてあげないとね。後は私が引き受けるから、気にしないで帰りなさいな」
「ローズさん・・・ありがとうございます」
そこから上目遣いでセカンを見ながら優しい笑みを見せセカンの急な発言を許容するローズおばさんに、セカンは本日何度目かになる頭を下げる。
「ミュウゥゥゥ・・・」
「はいはい、セカンちゃんを困らせないの。そうやって不満ばっかり言ってたら恩返しとかする前に迷惑しかかけれないわよ?」
「・・・はいですの・・・」
そのセカンを見て半ば恨み言に近い声を上げるミュウに、ローズおばさんは母親的精神MAXななだめを送りミュウはすごく暗く渋々返す。
「そういうわけだから、私は行くね?」
「ミュウゥゥゥ、また会えるですの・・・?」
「うん、私もまたこっちに来ると思うからその時は森まで行くからね。でもしばらくは来れないと思うけど、それはゴメンね」
「ミュウゥゥゥ・・・」
「・・・ハハ」
そんなミュウを励まそうとするが、やはりすごく残念がる様子を見て渇いた笑いしか出ないセカン。






・・・そんなやり取りを交わしつつもミュウ達を見送ったセカン達。二人はそれから各々の場所に戻り、眠りについた・・・









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