「そもそも我々が何故大詠師に神託の盾の動きを知った上で行動したか、それはカクノシンと言うジェイドに接触してきた男から第七譜石をこちらに渡してきたからだ」
「えっ、カクノシンさんが・・・！？」
まずはと第七譜石の出所を話せば青い顔ながらも驚くイオンに、ピオニーは大したリアクションを見せず話を続ける。
「その第七譜石の中身を知った結果、我々は疑うより先に預言が本当である時の事を思い戦慄した。マルクトが滅びることもだがそこから更なる展開としてキムラスカも滅び、最後にはオールドラント自体が滅ぶということにな。無論むざむざ滅びる気などない我々はキムラスカに行っていたジェイドからアクゼリュスで大詠師が事を起こすと聞き、すぐさまアスランを派遣することにした」
「・・・なんでジェイドが僕にその事をいわなかったのか、は僕に言っても意味がないと判断したからですか？」
「ほう。察しがよくなったな、導師」
「それは、まぁ・・・陛下が言った言葉から、ジェイドも正直僕の事を信じてなかったからだと思ったからですし・・・正直、そう思われていたかと思うと心苦しいですけど・・・」
「・・・まぁジェイドの選択は間違ってはいなかったな、結果としてスパイに情報が渡ることを阻止できて尚且つマルクトを害したスパイを捕縛することが出来たのだからな」
「・・・っ！」
そのまま淡々と続けていく様子にイオンも悲し気ながらも理解していると言うが、ピオニーはそこにアニスの事を明らかに意地悪く引き合いに出す。イオンはあからさまな悪意にひきつった顔になるが、ピオニーはその声を止めない。
「もし第七譜石の事を含め全て知っているなどと話していたなら、スパイは大詠師に情報を流していただろうな」
「そんな・・・アニスは、そのようなこと・・・」
「ならば両親の命をいつでも奪える大詠師と、その大詠師と敵対することがほぼ確実な導師・・・アニスとやらは、どちらを選ぶと言うと思う？」
「・・・それ、は・・・・・・」
「・・・ふぅ、ちょっとつついただけでこれではやはりダメだな・・・」
アニスが裏切らない保証は何か？そう口にするピオニーにイオンはまた動揺に何も言えなくなるが、ピオニーは首を振り呆れたように頭に手を添える。
「・・・意地悪い質問をしたことは謝ろう、導師。だが第七譜石の真実を聞いて少しは心境に変化がある様子を見てこうやって聞いた訳だが、やはりダアトには戻せんな」
「っ・・・それでは、今のは陛下の言葉は僕を試していたと・・・？」
「そうだ。ただ俺も自分を身内びいきだとは思っていたが、ここまでの領域とは思っていなかった。まさかスパイを自分の護衛と言うだけで、ここまでかばうとはとな」
「・・・それは・・・彼女も事情があったので・・・」
「・・・まぁ事情を聞けば心情的には味方をしたくなるのはわからないでもない。だが忘れたか？貴殿も乗っていたタルタロスはそのスパイの情報で襲われたんだぞ、マルクトがその事を全て水に流したとでも思っていたのか？」
「っ！」
そこから頭を軽く下げはしたものの言葉に容赦を込めずに話すピオニーに、イオンは押され押されのままでいた。だがそれでもアニスをかばう言葉を止めないイオンに、ピオニーはかばいだてのしようのない事実を突き付ける。







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