時代と焔の守り手は龍の剣 第十四話

「導師、貴殿が願う世界とはどんなものだ?」
「・・・それは、平和な世界です」
「・・・そう思うことは間違いではないと俺も思う。だが今の情勢ではそれは許されない、マルクトは滅びの背に立たされている・・・いや、それは厳密に言えばこのオールドラント全てか・・・」
「・・・え?それは、どういうことですか?」
ピオニーの口から出てくる厳しい口調の話から一変、少し厳しい表情で頭を抱えるその様子にイオンもどういうことかと押されていた事も忘れ首を傾げる。
「・・・ゼーゼマン、あれを」
「はっ」
「・・・これは・・・譜石?」
そんなイオンにピオニーが合図をすれば、ゼーゼマンが持っていた譜石をイオンに手渡す。だがいきなり譜石を手に渡され首をまた傾げるイオンにピオニーはそれがなんなのかを告げた。



「それが第七譜石だ」



「えっ!?・・・これが、第七譜石・・・!?」
・・・その正体は比古清十郎から渡された第七譜石で、マルクトに証拠品として渡した唯一無二の証拠品だ。だが伝説の物体のいきなりの登場に、イオンは驚きながらも半ば疑いの目を向ける。
「信じられんと言うなら詠んでみればいい、百聞は一見にしかず・・・とは少し違うが一回詠めばわかるはずだ」
「は、はい・・・」
ピオニーはそんなイオンにまずは詠めと言えば、反論が出来ずにイオンは意識を集中する。



「・・・・・・『これこそがマルクトの最後なり。以後数十年に渡り、栄光に包まれるキムラスカであるが、マルクトの病は勢いを増しやがてひとりの男によって国内に持ち込まれるであろう。かくしてオールドラントは障気によって破滅され塵と化すであろう。これこそがオールドラントの最後である』・・・そ、そんな・・・第七譜石に詠まれた預言がこんな、うっ・・・!」
「導師・・・!?」
・・・そして第七譜石の中身がマルクトの滅亡からオールドラントの滅亡までを詠み終えイオンは愕然としたが、唐突に顔を青くし床に倒れ込んでしまいピオニーも玉座から目を見開き立ち上がる。
「・・・そう言えば体があまり丈夫ではないと言っていたな。ただ第七譜石を詠んで体調を崩すとは・・・ゼーゼマン、導師を寝所に案内しろ。話を切り上げ、ゆっくり休んでもらった方がいい」
「はっ」
「・・・・・・いえ、話を続けてください。確かに体はキツいですけど、話を聞きたいんです・・・」
「・・・そうか」
そこでイオンの体の事を思い出しこの場はここまでと切り上げ休養させようと命令を出すが、イオンの見上げながらの息絶え絶えの声にピオニーはゆっくり頷く。
「ゼーゼマン、椅子を用意しろ。この状態で立ってもらうのは流石にキツいだろう、それと水にタオルもだ」
「はっ、すぐに用意致します!」
その姿勢を見て取ったピオニーは止めはしないと言う代わりに少しは快適にしようと、すぐさま環境の改善の為に指示を出す。ゼーゼマンもそれを受け敬礼を返せば、すぐに指示されたものを用意するため動き出す・・・












・・・そして少しだけ時間は経ち、ゼーゼマン及びその配下が用意した椅子に座りイオンは青い顔ながらも先程よりは落ち着いた様子で息を整えている。
「落ち着かれたか?」
「はい、ありがとうございます・・・」
「・・・そうか、なら話を続けよう」
その少しは持ちなおった様子に声をかけ、ピオニーは改めて話を始める。










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