時代と焔の守り手は龍の剣 第十三話

「第七譜石の件に飛天御剣流の件についてはわかりました・・・それでですがジェイド、モースを殺したとしたならその後はどうするのですか?」
「しばらくは表向きは静観します、モースが殺されたと広まったなら色々うるさいですからね。自ら動いたらそれこそ墓穴を掘りかねないから、事が落ち着くまではマルクトとしては動きません」
「・・・マルクトとしては・・・それに表向きは・・・という事はまた裏では何かやるつもりですか?」
「まぁそうですね」
話題を変える為に振った話だったが、ジェイドから更に裏があると言うような話を聞きディストは真剣に先を促すように体を前のめらせる。
「ではそれで何をするのですか?」
「・・・そこから先はモースを殺してからです。今はまだ言えません」
「・・・それは何故ですか?」
「貴殿方はあくまで捕虜からの協力者という扱いですからね、こうやって協力すると言っていただいている分には丁重には扱いますが、だからと言ってこれからの我々が思い描く展望を全て話さなければならない理由にはなりません。ですのでそこから先はモースを無事仕留めれてから話します・・・まぁ安心してください、貴方に被害は及ばないのは保証しますよ」
「・・・はい・・・」
だが先を望むディストにジェイドは話すことを拒否した、それもちゃんとした理由つきの安全を保証する形で。そう言われてしまえば所詮捕虜のディストに必要以上の追求など出来るはずもなく、ジェイドが先を話さないという断固とした厳しい空気を出していたのもありすごすごと了承する以外になかった・・・

















「・・・さて、これからの展開だが準備は整っているか?」
「えぇ、大丈夫です。それと同時にディスト達にはマルクトから逃げれないようにも処置を施します、内密にね」
「・・・お前にとってはそっちも重要になるな」
「・・・そうですね」
・・・そして場面はマルクトの領事館に戻り、比古清十郎が先の展望を聞けばジェイドは本人に勘づかれないようにしながらもディスト達の処置をすると言う。その部分にだけ見えた気合いの入り方の微細な違いに、比古清十郎はあえて触れる。
「私は貴方に会うまで過去から目を背けていましたからね、同時に自分の都合のいいことにだけ目を向け・・・ただそうなればディストをまた裏切るような結末を迎える事になるでしょうが、それはもう覚悟の上です」
「・・・裏切る、か。あえてそれ以上は聞かんが、ディスト達の処置はお前に任せるぞ」
「はい・・・!」
そしてその過去を悔やみ全てを払拭するための意志を込めた答えを聞き、比古清十郎はそれ以上を聞く事をやめディスト達を一任させると決めそう伝える。その声を受け返事を返したジェイドの顔には確かな力と意志が見えていた。


















誰にも怨恨を抱かれない人間などいない



自覚を持てるか持てないか、そこで運命は分岐する



自身の考えを持ち障害が存在しても強く歩める人間となるか、誰かの障害があったことにすら気付けずに終わる人間となるかに・・・



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