時代と焔の守り手は龍の剣 第十三話

「な、何故貴方が・・・?」
「今ジェイドが言った通りだ、マルクトがモースを殺したなどという現場を見られては俺としても面倒だからな。だから俺がモースを殺す役を引き受ける」
「い、いえ・・・だから何故貴方でなければならないのですか?」
「む・・・なんだ、そういうことか」
ディストはその訳を恐る恐ると問うが、あまりにも比古清十郎は堂々と自信に満ちた答えを返す。だが質問の意図はそう言った物ではないとまた恐る恐る訂正して言うディストに、比古清十郎はアゴに手を添え少しばかり首をひねる。
「まぁ今言ったようにマルクトに疑いがかかれば面倒と言うのもあるが、奴を殺すのは初めから俺の役目だと決めていたのでな・・・こればかりは譲れんから俺が殺す、それだけだ」
「そうですか・・・ですが何故、そこまでしてモースを殺そうと・・・?」
「・・・俺が預言が嫌いだからだ」
「っ!」
その姿勢のままモース殺害へのこだわりを見せる比古清十郎に一度納得しかける様子を見せたディストだが、更に話の内容を掘り下げるようまた問いかける。だが比古清十郎から明らかに苛立ちと殺気を浮かべられ、ディストは地雷を踏んだと思い切りひきつった顔になった。
「昔から俺は預言で全てを決めるという風潮を気に入らず、俺は故郷であるホドで異端視されていた・・・そんな時に俺は今は亡くなっているが、俺に剣を教えてくれた師匠に会った。そこから師匠に話を聞いてみれば預言嫌いだと公言していた俺に自分の剣術を継承させる為に来たとのことだった」
「・・・」
そこから自分の昔を語る比古清十郎にディストは余計な口を挟めない、そこにある想いがただならぬ物であると否応なしに理解させるために。
「それで何故世間一般では珍しい預言嫌いにわざわざそんなことをと言ったら、師匠はこう答えた。そう遠くない未来でホドが滅び、アクゼリュスが崩落してマルクトが滅びる未来が訪れる・・・それを止めるには預言を否定出来る人間でなければならない、とな」
「なっ!?何故そのようなことを貴方の師匠が知っていたのですか!?ホド崩落以降の預言を知ってるなど、ダアトの人間以外にいるなどと・・・!」
「・・・まぁここまで来たんだ、今更黙る意味もないだろう」
「・・・え?」
その上で師匠に当たる人物が預言を知っていると言われたまらずディストが大きく声を上げるが、そんな様子に比古清十郎は少し間を空け意味深に切り出しまた呆然とした声をあげさせる。
「これはマルクト側には証拠として渡したが、俺の師匠は持っていたんだ」



「・・・第七譜石をな」



「だ、第七譜石!?」
・・・そして比古清十郎は衝撃の事実を明かした、自分の師匠が第七譜石を持っていたと。
「な、何故第七譜石を持っていたのですか!?あれはある場所がわからないと、長い歴史の中で問題になっていたというのに・・・!」
「焦るな、今話してやる。俺の使う剣術、飛天御剣流がどのような経緯でその第七譜石を受け継いで来たかをな・・・」
「・・・っ!」
ディストはあまりの衝撃に先程までの萎縮が消えたかのよう驚愕と動揺で揺れた声を上げる。その様子をたしなめ先を話すという比古清十郎にディストは驚愕も動揺も忘れ息を飲んだ、けして表向きには語られないだろう重い歴史の一端を語る比古清十郎のあまりの真剣さに・・・







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