時代と焔の守り手は龍の剣 第二話
「誰ですか、そこにいるのは?」
「「「!?」」」
だがその空いた間に、誰かの声がセカン達の後ろからかけられ咄嗟に皆振り向く。そこには・・・
「導師・・・!?」
「ローズさん、こんな夜中にどうしたんですか?」
導師イオンがいた。イオンはこちらに近付いてきながらローズおばさんを認識すると疑問の様子を見せるが、ふとチーグル達の方を見ると目を丸くする。
「チーグル・・・?チーグルが何故ここに?」
「みゅみゅ?」
(どうしよう・・・)
その存在に疑問を持つイオンに、その視線に首を傾げるミュウ。その光景に対処を考えるセカンだが、どう考えても一つしか方法は浮かばない。
「あの、導師・・・ちょっといいですか?」
「はい、なんですか?」
「今からチーグル達がここにいる訳を説明しますので、少しお時間をいただけますか?」
「はい、わかりました」
丁寧に話を切り出すセカンが出した答えは状況説明。話をこれ以上こじらせたくないセカンの申し出に、イオンは人のいい笑みを浮かべ了承を返す。
「・・・という訳なんです」
「そんなことが・・・」
そして一通り説明を終え、イオンが浮かべたのは苦く痛々しい表情。
「それで食料を渡す為にローズさんと顔合わせをしていたんですけど、導師は何故ここに一人で来たんですか?」
そんなイオンに話すことは話したので、セカンは護衛の導師守護役の少女がついていない現状について問い掛ける。
「あ、いえ。ちょっと一人で散歩したくてアニスには遠慮してもらったんです。そうしたらお二人とチーグル達を見たもので・・・まさか数日前に話題になっていた食料泥棒がチーグルのやったことだったとは・・・」
「ミュウ~、すみませんですの~・・・」
その質問にイオンはあえて導師守護役のアニスという少女を外させたと言いながらもチーグルのやったことを歎いたような声を出し、ミュウは悲しそうに顔を歪める・・・が、セカンはそのやり取りに一種の不安が脳裏に過ぎっていた。その不安を取り除くべく、セカンはあえて自分主導で話を進めようと平静を保ちイオンに真剣に切り出す。
「・・・導師、出来ればこのことに関して忘れて欲しいとは言いませんが誰にも何も言わず、聞かなかった事にしていただけませんか?」
「えっ・・・何故、ですか?」
そのいきなり切り出された要望に心底理解が出来ない様子のイオン。
「すみませんが、この問題に関しては大事にしたくないからこそ穏便に事を進めたいのです。ですが導師の様子を見る限りではどこか、自ら動こうとしてるように見えます。しかも危険を省みず、導師守護役をつけようともせずライガの住家に行こうとするような・・・」
「!・・・何故それを・・・」
だが自らの取ろうとしていた行動を当てられイオンは驚愕するが、その不安が当たってしまっただけにセカンは内心がっくりとしていた。
・・・セカンがイオンの行動に予測を立てられた理由、それはチーグルの味方に一方的に立った物の見方をしていると感じたからである。まぁローレライ教団で聖獣と崇められるチーグルを守ろうと考えるのは、導師としてチーグル寄りの考えになるのはわからないでもない。
それに歎いたような声はむしろチーグルにそんな行動を取らせるに至るまで追い込んだのだと考えたのだろうし、お人よしなのは話してみてすぐによくわかる。その上一応治安の安定したエンゲーブという地とは言え、夜という危険な時間帯に護衛を自ら離すという暴挙を平気で行っている。ここで護衛が引き下がる事も問題ではあるのだが、これは危機管理能力が薄いと言える。
ここで会ったばかりのイオンに対してこれだけの会話でどういう考え方をするか・・・それらを繋げ合わせた上での仮説を打ち立てイオンに先程のようなことを言ったのだが、正解であることを望んでいなかったセカンは尚の事虚脱感が強かった。
・・・だからこそ、セカンはイオンを止めなければならないと考えていた。
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「「「!?」」」
だがその空いた間に、誰かの声がセカン達の後ろからかけられ咄嗟に皆振り向く。そこには・・・
「導師・・・!?」
「ローズさん、こんな夜中にどうしたんですか?」
導師イオンがいた。イオンはこちらに近付いてきながらローズおばさんを認識すると疑問の様子を見せるが、ふとチーグル達の方を見ると目を丸くする。
「チーグル・・・?チーグルが何故ここに?」
「みゅみゅ?」
(どうしよう・・・)
その存在に疑問を持つイオンに、その視線に首を傾げるミュウ。その光景に対処を考えるセカンだが、どう考えても一つしか方法は浮かばない。
「あの、導師・・・ちょっといいですか?」
「はい、なんですか?」
「今からチーグル達がここにいる訳を説明しますので、少しお時間をいただけますか?」
「はい、わかりました」
丁寧に話を切り出すセカンが出した答えは状況説明。話をこれ以上こじらせたくないセカンの申し出に、イオンは人のいい笑みを浮かべ了承を返す。
「・・・という訳なんです」
「そんなことが・・・」
そして一通り説明を終え、イオンが浮かべたのは苦く痛々しい表情。
「それで食料を渡す為にローズさんと顔合わせをしていたんですけど、導師は何故ここに一人で来たんですか?」
そんなイオンに話すことは話したので、セカンは護衛の導師守護役の少女がついていない現状について問い掛ける。
「あ、いえ。ちょっと一人で散歩したくてアニスには遠慮してもらったんです。そうしたらお二人とチーグル達を見たもので・・・まさか数日前に話題になっていた食料泥棒がチーグルのやったことだったとは・・・」
「ミュウ~、すみませんですの~・・・」
その質問にイオンはあえて導師守護役のアニスという少女を外させたと言いながらもチーグルのやったことを歎いたような声を出し、ミュウは悲しそうに顔を歪める・・・が、セカンはそのやり取りに一種の不安が脳裏に過ぎっていた。その不安を取り除くべく、セカンはあえて自分主導で話を進めようと平静を保ちイオンに真剣に切り出す。
「・・・導師、出来ればこのことに関して忘れて欲しいとは言いませんが誰にも何も言わず、聞かなかった事にしていただけませんか?」
「えっ・・・何故、ですか?」
そのいきなり切り出された要望に心底理解が出来ない様子のイオン。
「すみませんが、この問題に関しては大事にしたくないからこそ穏便に事を進めたいのです。ですが導師の様子を見る限りではどこか、自ら動こうとしてるように見えます。しかも危険を省みず、導師守護役をつけようともせずライガの住家に行こうとするような・・・」
「!・・・何故それを・・・」
だが自らの取ろうとしていた行動を当てられイオンは驚愕するが、その不安が当たってしまっただけにセカンは内心がっくりとしていた。
・・・セカンがイオンの行動に予測を立てられた理由、それはチーグルの味方に一方的に立った物の見方をしていると感じたからである。まぁローレライ教団で聖獣と崇められるチーグルを守ろうと考えるのは、導師としてチーグル寄りの考えになるのはわからないでもない。
それに歎いたような声はむしろチーグルにそんな行動を取らせるに至るまで追い込んだのだと考えたのだろうし、お人よしなのは話してみてすぐによくわかる。その上一応治安の安定したエンゲーブという地とは言え、夜という危険な時間帯に護衛を自ら離すという暴挙を平気で行っている。ここで護衛が引き下がる事も問題ではあるのだが、これは危機管理能力が薄いと言える。
ここで会ったばかりのイオンに対してこれだけの会話でどういう考え方をするか・・・それらを繋げ合わせた上での仮説を打ち立てイオンに先程のようなことを言ったのだが、正解であることを望んでいなかったセカンは尚の事虚脱感が強かった。
・・・だからこそ、セカンはイオンを止めなければならないと考えていた。
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