時代と焔の守り手は龍の剣 第十三話

「・・・これよりどうすると言うのですか?」
「まず手始めにですが、キムラスカ及びモースの二の矢を封じます」
・・・セカンとシンクの出ていった場にディストの疑問の声が上がると、ジェイドは強く敵と見定めた相手への牽制と口にする。
「このままアクゼリュスが落ちなければいずれモース辺りが早く早くと先をせっつき、偵察及び崩落の為の捨てゴマの兵士辺りを送り込んでくると見込んでいます。そうなれば今の現状をあの手この手とまたややこしくしてくるのは容易に想像がつきます・・・ならばこそこちらから仕掛けます」
「具体的には?」
「キムラスカとモース、一見裏で強い繋がりを持って同じ志を持っている同士に今なら思えますが所詮違う組織で違う国に属する者が達・・・そこでモースがキムラスカからダアトに戻らざるを得ないよう、手紙を送ります」
「手紙?」
「ただの手紙ではありません、今までの流れとダアトの闇を内包した手紙です。主な内容はアクゼリュスを襲撃に来た貴殿方を我々が止めた事とイオン様がレプリカであるという事実です」
「・・・すみません、正直それだけでモースが揺るぐとは思わないのですが・・・」
「無論手順に中身はそれだけではありません。まずその手紙はインゴベルト陛下側に先に渡るように出し、中身には同様の手紙をダアトにも遅かれ出すと含めます」
「・・・あぁ、成程。それならモースも慌てるでしょうね。ダアト内で導師がレプリカであるという事実にアクゼリュスを我々が襲ったなどという事実は伝わってないですし、そんな事実を知らされればまずダアトは揺れますしね・・・それにキムラスカ側としても導師の事実を知ればモースに疑いを覚えるでしょうからね、少なくともモースの肩身は狭くなるでしょう・・・そうなれば一層モースは事態の収集と厳しい目から逃れる為、ダアトに戻ることを選ばざるを得なくなるでしょうね・・・」
「ご理解いただけたようですね」
そこからキムラスカにモースの両者間の仲を引き裂く為にモースの痛いところをこれでもかと突いた攻撃方法を話すジェイドに、ディストも納得の声を上げるが少し間を空けて眉を曲げ首を傾げる。
「・・・ですが貴方にしては少し詰めが甘くはありませんか?貴方でしたらモースだけでなくダアトも揺るがすようにすると思うのですが・・・」
「無論キムラスカ側に出す手紙は建前です。ダアト側にも同じ中身の手紙は出しますよ、それもキムラスカ側より早くね」
「・・・成程。抜かりはない、と言う事ですか」
そのディストは攻撃対象の範囲の緩さは何故だと言うが、抜かりなく対応を取っていると言われやはりジェイドだと少し嬉しそうに顔をにやつかせるがまたふとハッとした顔になる。
「・・・ですがそれではモースがダアトに戻ればその事態は収束するのでは?私から言わせてもらえばモースは力業が得意ですから、全て預言なんだと言う事で無理矢理にでもダアトの人間を納得させると思われます。そうなれば精々時間稼ぎ程度にしかならないと思いますよ?」
「それについては問題ありませんよ・・・彼にはケセドニアで死んでいただくんですから」
「なっ!?なんですって!?」
ふとディストの脳内に浮かんだのは事態を静める為にどんな手段を使ってでも、無理矢理人々を怒鳴り散らして力業でまとめる姿。そういった事をするだろうから時間稼ぎにしかならないだろうと告げたディストだったが、冷酷に殺害予告をしたジェイドのなんとも思っていない返答に度肝を抜かれた。








9/15ページ
スキ