時代と焔の守り手は龍の剣 第十二話

「ならもう行く?あんまり時間かけたくないんでしょ?」
「そうですね」
「ただ言っておくけど僕はアリエッタへの説得は特にしないからね。面倒なのもあるけど、アイツとはあんまり反りがあわないから・・・だから変に期待しないでね」
「・・・はい、わかりました。では行きましょう」
「うん」
そんなセカンを見ながらも仮面を被りつつシンクは自身は言葉ではアテにするなと言うと、セカンも微妙な表情ながらも納得して特に反論することもなく行こうと言い二人は場を後にして行く・・・
「・・・大丈夫なのですか、あの二人だけで行かせてしまって?彼女はともかくシンクは自分で言ってましたが、そこまで役に立つとは思えないんですが・・・」
「二人だけでちょうどいいくらいだ。導師が入ればむしろ事態が変にこんがらがりかねん、要点をロクに捉えてもないのに無闇な形で謝罪するなどしてな。それに下手に人数を増やしたとてアリエッタの衝撃に大して変化などない上に、あいつを励ます気などない・・・どう受け入れどう行動するかを決めるのはアリエッタ自身、それをどうこうと他人の俺がとやかく言うつもりはない」
「・・・成程」
その様子からディストが大丈夫かと口を挟むが、比古清十郎が自身の考えを揺るがず明かせばそれ以上は何も言えなくなる。
「それを今更貴方が言いますか、ディスト?アリエッタの事を二の次とした案を出した貴方が」
「ま、まぁ確かにそう言われてみればそうですが・・・ってジェイド、どうしたのですか?いつもの貴方ならこんな時に余計な皮肉を効かせてくるはずなのに・・・」
「・・・もうそんな気分になれないからですよ」
しかし事の発端はディストの一言から。それを告げればディストは動揺しつつも以前はよくあったであろうやり取りがないことに少し寂しげな様子になるが、ジェイドは真剣な面持ちで眼鏡を手で押さえながら横に視線を向ける。
(サフィール・・・この事態を引き起こしたのは私にも一因があります。今更ふざける気になんてないんですよ。同時に貴方をこのまま放っておく気もない・・・)
その何かあると思わせる態度の心中にあるのは事を確実に進める為の強い決意、ただそれだけ。だからこそジェイドはその後の事を見据え、ディストに対してある考えを強く抱いている・・・
「・・・まぁそれはよろしいでしょう。それより今はマルクトに貴方は協力していただいている身です、これよりの以降の流れをお話しますのでお聞きください、シンクには後で私からお伝えします」
「え、えぇ。わかりました・・・」
だがそんな内心を見せずに事務的に発せられる声にディストは少しシュンとしながらも、その話を聞いていく・・・















想定外の事態などいつどこででも起き得るもの



重要なのは戸惑うことではない



それを受け止め真摯に向き合うことである






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