時代と焔の守り手は龍の剣 第十二話

「・・・確かに貴方の言いたい事は分かりました、貴方がいればイオン様がいなくともアリエッタは事実を理解するでしょう。ただ1つ事実確認の為にお聞きしたいのですが、貴方はどういった理由で産み出されたのですか?・・・今のイオン様がいる以上、貴方の役割という物が私にはイマイチ計りかねているのですが・・・」
「・・・ま、それは言っとかないといけないか」
ジェイドはその様子に事実を受け止めつつも聞きにくそうな雰囲気をかもし出しながらその訳を聞き、シンクは軽い苦笑を浮かべながらも経緯を語り出す。
「まぁ簡単に言えばダアト式譜術を完璧に使えるレプリカが欲しかったんだよ、モースにヴァンはね。けどまぁそう簡単にはいかなかった。ダアト式譜術を完璧に使える導師のレプリカを創るのは。だから何人かレプリカを創りようやく成功したのが今のイオンで、僕は失敗したレプリカなんだよ」
「・・・シンクを含めた導師のレプリカを創ったのは貴方ですね、ディスト」
「そうです。特にモースからはダアト式譜術が完璧に使えさえすればいいということで、流石にそれは誤魔化しようがなかったのでダアト式譜術を完璧に使えるレプリカが出来るまで私に妥協は許されませんでした」
「ですが何故モースは完璧にダアト式譜術を使えることが条件と?モースは別にダアト式譜術を使えなければいけない理由などないはずですが」
「それはヴァンの口車に乗せられたからだと思いますよ。ヴァンから詳しい中身は伺いませんでしたが、大方ダアト式譜術を使わなければならない時に使えなければ言い訳が出来ないからとか困るだとか言われたからだと思いますよ。モースはその辺りの処置に関しては面倒だからと鵜呑みにするのが目に見えてますので、それで間違いないかと思われます」
「成程・・・」
その経緯を聞きディストに経緯の詳しい話を引き継ぐように聞けば、裏の事情をその口から聞きジェイドは納得して頷きながらまたシンクに視線を向ける。
「・・・それで大方の予想はつきますが、他の導師のレプリカはどうなったのですか?」
「死んだよ、火山に落とされて僕以外はね」
「・・・っ!」
緊迫感を持って改めて他の導師のレプリカの事を聞けば、シンクは正直に死んだと明かしその事実を聞きセカンがクッと歯を噛み締める。
「モースから見たら導師のレプリカは一体だけいれば十分だったからだろうけど、そのまま廃棄って形でザレッホ火山に連れていかれたんだ。それで次々に火山に他のレプリカが落とされて行くなか、僕だけは落とされる前にヴァンに助けられて今に至るって訳さ」
「・・・それでお前は恩義の為にヴァンに協力しているというのか」
「っ・・・恩義、とは違うよ。ただ僕は・・・今思えば・・・生きる訳を何かに求めてたから、無意識にヴァンの手を取る事を決めた・・・それだけのことだよ。別に今となってはあいつには打算があっても命を助けてくれたこと以外に恩義は感じてない・・・ただそれでヴァンから恩義があるから自分をどうにか助けろとか言われたら、打算で助けた相手にそこまで言われたくないって言うけどね・・・」
「・・・それが正解だ」
当時の事を思い出しながら話すシンクに比古清十郎が恩義かと言えば少し動揺しつつも、シンクは自身の内心を明かしつつも恩義じゃないと返しその答えに納得だと比古清十郎も頷く。
「・・・と言うわけだ。僕の顔を見せればアリエッタに説明は十分に出来るけど、君はまだ何かいる?説明するのに」
「・・・貴方が協力してくれるならそれで大丈夫だと思います」
そして本題であるアリエッタへの説明はこれで大丈夫だろうとセカンに向けば、そのシンクに重々しくも確かにイケると頷く。








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