「だから私は導師の事を伝えるなら、ダアトを辞める事も考えるよう選択肢を提示した方がいいかと思います。それはアリエッタがうまくやれないことを考えたらもですが、自殺をされたらライガに対して私も顔が立ちませんし・・・」
「あぁ、そう言えば貴女はアリエッタの育ての親であるライガに食料を提供していましたね・・・」
その上で新しい選択肢を上げつつ自身の情を滲ませたセカンの声に、ジェイドはライガに食料支援をしていたことを思い出す。
「だから出来ればアリエッタには生きていてもらいたいので、導師の事を明かすなら私が彼女に話をしたいのですが・・・ただそうするなら導師がレプリカという事実をより確実にするため、そっちの二人と導師に協力してもらいたいんですけど・・・」
「・・・導師は確実に渋るでしょうね、自分がアリエッタにレプリカだと言うことは」
「・・・はい」
そんなジェイドの言葉から自分が説得したいと言うが不安要素があると滲ませるセカンにディストがその中身を言い当て、苦く頷いてしまう。



・・・イオンは自身の立場が非常に危ういことを理解していながらも、被験者イオンを通してでも自身を敬愛してくれるアリエッタに真実を告げられずにいた。言おうと思えば言えたはずなのに、今の関係が壊れることを怖がり・・・そんなイオンにわざわざそんなことを協力させるには無理がある、場にいる人間は全員そう考えていた。
「・・・大丈夫だよ。僕がいればアリエッタへの説明は十分に出来る」
「・・・シンク？」
するとそんな空気の中でイオンはいいと言い出すシンクにセカンは訝しげに視線を向けるが、ディストがセカンより強く疑わしげな目を向ける。
「シンク、貴方バラすというのですか・・・？」
「今更だろう、死神「薔薇です！」今はそんなことどうだっていいんだよ」
その目のままバラすのかと問うディストにシンクは呆れに近い様子で口を開いていく。途中のディストの呼称の訂正要請にも動揺など見せない。
「どうせここまで来たんなら後々事を進める為にもすんなりと行かせた方がいい。それにコイツらはほとんどの事を知ってしまってる、今更僕の事をバラした所で大した変わりはないのはわかるだろう？アンタにもさ」
「・・・確かに、それもそうですね」
そのまま開き直りにも思えるような言い方で話をしたシンクに、ディストもようやく納得した様子を見せる。
「・・・すみませんが、何の話をしているのですか？雰囲気から重要な事だとは分かりますけど、肝心の中身が見えないのですが・・・」
「あぁ、そうだったね・・・簡単な事さ、今からこの仮面を外すからよく見てな」
「えっ・・・？」
二人の中でしか話が通じない空間になりかけていた所、ジェイドがその空気を変えるよう口を挟むとシンクはあっさりと仮面に手をかける。
「「「「！！」」」」
セカンの戸惑いの声が上がる中でシンクは仮面を取ると、程度の差はあれ六神将の二人以外の表情に驚きが浮かんだ。その中でゆっくりと声を上げたのは・・・ジェイドで、確信を持った声で周りに聞こえるよう呟く。



「・・・貴方も導師のレプリカだったのですね、シンク」



「そういうことだよ」
・・・仮面を外した先にあったのは髪型と不敵な笑みを浮かべた表情こそ違えどイオンと全く同じ顔。ジェイドの呟きにシンクはまた気にした風でもなく、あっさりと肯定の声を上げた。









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