時代と焔の守り手は龍の剣 第十二話

「・・・そういうことなら私はアリエッタに導師の真実を話した方がいいと思いますよ。ただ彼女の事を二の次にして世界の安寧を選ぶなら、の話ですが・・・」
「彼女の事を二の次、ですか・・・」
すると先に答えたのはディストだが、不穏な前提条件もつけられジェイドは既にその中身を理解したよう頷く。
「えぇ・・・アリエッタにとっては酷でしょうが、このまま黙っていれば遅かれ早かれ導師と望まぬ交流により世界が混乱に陥る可能性が高いと思われます。ならばいっそのこと彼女が耐えれるかどうかを賭けた上で明かした方がいいでしょう。アリエッタがそれを受け入れ強い意志を持てるならそれでよし、それを受け入れず自殺するような事があれば・・・」
「・・・それで終わらせ、適当な言い訳をつけてその死を周りに知らしめるという訳ですか・・・まぁ妥当な線ですね」
その上で自身の考えをまとめたディストの声にジェイドは中身を引き継ぎながら、納得しながら眼鏡を手で押さえる。



・・・ディストもジェイドも元来こだわりが薄いものには冷酷な考えを持って行動に移せるだけの意志が(ジェイドは認めたくないだろうが)共通してある。その上で下手にチマチマてぐすねを引くよりは当たるか外れるかの大博打を打って結果はどちらでもいいからそうやった方がスッキリするだろうという考えが二人にはあった、正味な話でアリエッタの扱いに困っていただけに。



「・・・何にせよいずれはアリエッタと導師は一回対面せねばならん状況が訪れる、か。ならいっそ一度こちらから機会を作ってやった方がいいだろう、後々に回せば回すほど面倒になる姿が目に浮かぶ」
「それは、確かにそうですね・・・」
その流れで比古清十郎も素直に同意はせずともアリエッタはいずれイオンと覚悟を決めて会わせなければと言い、フリングス少将も重く頷く。
「・・・師匠、ここにいたんですか?」
「む・・・セカン、どうしてここに?」
すると最後にシンク、と行く前にブリッジにセカンが来た事で比古清十郎達が一斉に視線を向ける。
「いえ、ルークさんが眠いと言ってベッドに横になったので師匠を探しに来たんですけど・・・どうしたんですか、この状況?」
「・・・ジェイド、説明を頼む」
「何故私が・・・?・・・まぁいいでしょう」
ここに来たわけを言うセカンはこの状況がどういった物かを理解できていない様子を浮かべるが、比古清十郎は説明役をジェイドに押し付ける。ジェイドは少し微妙な表情をするが了承をし、今までの説明をセカンに始める・・・












「・・・という訳で二人は協力していただけるのですが、アリエッタにどうしていただくか・・・少々難しい所がありましてね・・・」
「・・・」
そして全て説明し終わり困った様子を浮かべるジェイドに、セカンは考え込むよう顔を歪める。
「・・・・・・確かに今のままアリエッタが導師と会ってもあまりいい結果が思い浮かばない、というのは十分に有り得ます。けどアリエッタが導師がレプリカという存在であることを仮に受け入れられたとしても、彼女がダアトに今までのよう居続けられるかどうか・・・それも正直微妙だと、私は思います」
「・・・成程、それも十分に有り得ますね」
少し間を空け自身の考えたものをまとめて話すセカンに、ジェイドもまた納得して頷く。



・・・何もアリエッタが受け入れたからと言って、またそれ以前のようにやれるなどと限ったことではない。むしろ知ってしまっただけにまた精神の幼いアリエッタが自然な態度が出来なくなる可能性がある、そう言われてしまえばジェイドも否定出来る要素がなかった。








11/15ページ
スキ