時代と焔の守り手は龍の剣 第十二話

「・・・それを踏まえて今一度問おう。まだお前は生き死にがどうでもいいと抜かすか?」
「っ・・・!」
「もしそうだと言うなら今度は望み通り・・・殺してやる」
「っ!」
そんなフラッシュバックした記憶を浮かべながら自分の気持ちを整理していた所に、比古清十郎は再度今度は殺すと真剣をまた握る力を強めシンクはハッとして・・・急いで首を横に振った。
「そんなことは言わないよ・・・僕はまだ死にたくない、アンタのおかげでそう思えたから・・・頼む、僕を殺さないで・・・」
「「「・・・っ!」」」
「・・・ふん」
そんなシンクから出たのは弱くも確かに生きたいと願い出る懇願の声・・・六神将の3人は意外そうに息を呑むが、比古清十郎は殺気を霧散させ口元を笑ませると刀を納めつつ後ろを振り向く。
「ならいい・・・精々生きろ、死ぬその時まで懸命にな」
「・・・」
それでジェイドの方に戻り際残した一言にシンクは重々と、素直に頷く。
(こういった勝算があったからカクノシン氏は手を出すなと示したのですね・・・生への渇望を見出ださせる事で素直にさせるとは、私には出来ないし考えれなかったやり方ですね・・・なら私は私がやれることをやるべきですね)
1人黙ってその状況を静観していたジェイドは一連の見事な流れに感嘆を覚えつつも、気持ちを切り替え自分の前に戻った比古清十郎を見て口を開く。
「ではディストにアリエッタにシンク、貴方達はマルクトに投降という事でよろしいですか?」
「えぇ、勿論です!」
「ディスト・・・!」
それは最終的な敵味方としての区別をつけるための問いかけでディストはすぐさまジェイドに肯定を返し、ラルゴはまた殺さんばかりに目を向ける。
「・・・アリエッタ、謡将達の事信頼出来ない、です。けど貴方の言ってる事、イオン様も危険にしてしまうかも、です。だからアリエッタ、どうすればいいか、わからない、です・・・」
「あぁ、そのことについては心配しないでいいですよ。イオン様はこのタルタロス内にいます。丁重におもてなししていますので、イオン様自身が余程マルクトと敵対するような意志を見せない限りは傷一つつけるつもりはありません。それは保証しておきます」
「イオン様・・・よかった・・・」
すると続いたアリエッタはイオンの事で迷ってると言い出すが、すかさずジェイドは捕縛しているという事実を明かさず上手い言い方でアリエッタを安心させる。
「まぁ貴女はしばらく考える時間があった方がよろしいでしょうから、まだゆっくりしていて構いません。それでシンク、貴方はどうしますか?」
「・・・僕も協力するよ、今あんたらがやってる事が終わったら僕の立場がどうなってるかわからないしマルクトに恩は売っておいて損はなさそうだからね」
「成程・・・」
「シンク・・・」
そんなアリエッタは置いておいてと次にシンクに意志を問うと、少しの間を空け先程の様子からすぐと思えないほど存外冷静な答えを返しジェイドは納得してラルゴはまた意外そうにシンクを凝視する。
「・・・まぁいいでしょう。それで最後にラルゴ、一応貴方にも確認しますがマルクトに協力する気はありますか?」
「っ・・・聞かなくても分かるだろう、俺はそんな気はない」
「でしょうね」
そのラルゴに断られるとわかりきったように言いつつも一応質問すると、シンクから視線を向け直しすぐに断りを入れジェイドは大して揺るぎもせず眼鏡を手で押さえる。



・・・アリエッタとディストの引き込みは有り得ると思っていたがシンクまでとは、と思ったジェイド。だがやることに変わりはない、そう思ったからこそ有利に進めるよう考えていたこれよりの流れをまた口にする。










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