時代と焔の守り手は龍の剣 第十一話

「・・・俺は、どうしたらいいかわからない。マルクトに行けば確かに安全なんだろうけど、俺はずっとバチカルで暮らしてきたしどう身を振ればいいかもわからない。それにこのままバチカルに戻らずにいるのも逃げるみたいだし、かといって何が出来るかもわからないし・・・正直考える時間が欲しい・・・」
「考える時間ですか・・・まぁさっき言った事を今すぐ結論をと言うのには少し問題が大きいのもあって、急ぎすぎではありましたね。いいでしょう、次の行動に移すにもしばらく時間もありますしじっくり考えてください」
そこから精一杯に自身の本音を絞り出したルークの結論は力なく、それでいて確かに迷いを想いに込めた考えたいとの一言。そんな声にジェイドは性急だったと自身で納得しつつそうするように言うと、アッシュに冷ややかな視線を送る。
「という訳なのでアッシュ、貴方はグランコクマに送らせていただきます。もう貴方に用はありませんので」
「ぐっ・・・てめぇ・・・!」
「足は治癒術では治さないのでそうは簡単にいかないでしょうが念のために言っておきます、逃げようなどとしないでください。一応捕虜として生かしておきますが、脱走などすればその時点で容赦ない処分がくだると思っておいてください。あくまで貴方は『鮮血のアッシュ』なのですからね。今更逃しなどしませんよ」
「っ・・・!」
「では・・・アッシュを拘束し、牢屋に入れておけ!」
「はっ!」
「・・・くそっ!離しやがれ!くそがぁぁぁっ・・・!」
‘バタンッ’
その冷ややかな視線のままあくまで『鮮血のアッシュ』として扱うジェイドは兵士に捕縛にかからせ、アッシュは折れたままの足がある為に兵士に抵抗することも出来ず引きずられるようにしてその部屋を追い出されていった。
「・・・ちなみに聞きますがまだ彼と何か話したい事はありますか?でしたらまた後で面会出来るようにしますが」
「・・・いや、いい。話をよく聞いてわかった、アイツは俺に八つ当たりにもなんねぇもんをぶつけたいだけだ。多分どんな言葉をいくらぶつけたってアイツは俺を理解しようともしないでそうするだけ・・・そんなヤツに一々何か言う気はもうねぇよ・・・」
「・・・そうですか」
そんな光景を見送り話はまだアッシュにあったかとジェイドがルークに問うと、もうアッシュに対し諦めの感情以外ないと言わん声で返されジェイドはそれ以上の追及を避ける。
「ならしばらくはこのタルタロスでゆっくりしていてください。我々もまだアクゼリュスの住民の方々の救援の事後処理と六神将及びにその配下の神託の盾の処分がありますので、その間に色々考えてください」
「・・・あぁわかった」
「では私は行かせていただきますが、お二人はどうしますか?」
代わりにやることがあるからと言うジェイドに力なくも了承するルークの声を受け、今度は二人に声をかける。
「私はここにいます。大丈夫です、邪魔にはならないように極力は黙っていますから」
「セカン・・・」
その問いにセカンは柔らかな笑みを浮かべ部屋に残ると言い、ルークは呆然としつつもどこか安堵の様子を見せる。
「俺はまだお前に付き合ってもらう事がある、時間は取らせんから来てもらうぞ」
「・・・えぇ、わかりました」
対する比古清十郎はまだ何かあると言わん様子を浮かべるがジェイドはそれは少し意外そうにしながらも、特に反論は見せずに了承する。
「では行きましょうか・・・また後で」
そうと決まればと退出とまた後にと挨拶を残し、ジェイドは比古清十郎と共にその部屋を退出していく・・・










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