時代と焔の守り手は龍の剣 第十一話

「て、てめぇ・・・何しやがる!?」
「・・・何しやがるも何もないでしょう、むしろ貴方の方が何をしているのだと言われて当然の事をしています・・・!」
殴られたアッシュは地から上体だけを起こし苛立ちを込めた目と声をぶつけてくるが、セカンは見下ろしながらアッシュに静かにより強い怒りをにじませる。
「なんですか、貴方は・・・身代わりって知ってるルークさんが嫌だって言うのに、ファブレに戻る気はないって言うなんて・・・もし貴方はそうやってルークさんを今までの流れで死なせていたら、どうするつもりだったんですか・・・?」
「どうするもこうするもねぇ!ムカついた奴を殺して終わり、それだけの事だ!」
「だから!私はその後の事を聞いてるんです!」
「っ・・・!?」
声は静かなままで問うセカンにアッシュは短絡的に答えるが、すかさずその答えにセカンは爆発させた怒りでアッシュを黙らせる。
「それで、どうするんですか貴方は!?ルークさんを殺したとしてもキムラスカに帰る気はない!それだったらそれでもういいんです、貴方はダアトに亡命したってことになるから!でも貴方はファブレに戻りたかったということを口にした!だったら貴方はルークさんが死んだ後のキムラスカがどれだけ混迷の渦に巻き込まれるかを考えた事はなかったのですか!?『ルーク・フォン・ファブレ』という存在がいなくなった後のキムラスカにファブレという物を!」
「っ・・・!」
セカンは更にアッシュの矛盾に満ち考えのないその頭の中を責めるよう詰めていくが、アッシュは苦い顔をするばかりで何も返せない。
「それに貴方はキムラスカに戻れないと自身で言った!なのにさもまだ自身に愛国心があるような事を言ってる!カイツールの軍港を襲ったのに、キムラスカにまだ未練があるように言って!」
「あぁ、あれは確かにダアトに亡命したからやった事だと思いましたね。ただだからこそ私も驚きました。自国の民をああも無惨に殺しておいてまだ愛国心があると言えるとはとね」
「っ!?あ、あれは・・・違う、違うんだ!」
そして更に引き合いに出したカイツールでの暴挙にジェイドも多大な嫌味を込めた批難を向けると、流石に不本意と思ったのかアッシュはらしくもなく焦った様子で自己弁護に入る。
「あれは、この屑をコーラル城に誘き寄せ同調フォンスロットを開く為にやったことだ!」
「だから俺に非はない、ですか?・・・同調フォンスロットが何かは知りませんが、そうやってルークさんを誘き寄せる為だけに何人も民を殺しておいて自分に罪がないなんてどの口が言っているんですか!それもルークさんが来ない事の方が罪だみたいな言い方をして!それだけの為に殺された人があまりにも不憫すぎます、貴方はキムラスカの王族だというのにそんなことも考えられなかったのですか!?」
「・・・それ、は・・・っ!」
だがすかさず自分の行動を正当化しようとしたその声をセカンは倍以上に激昂の正論をもって返し、アッシュは反論の言葉を無くし口ごもる。
「・・・失礼、セカン。同調フォンスロットの話が出たのでこれも聞かせてください。アッシュ、貴方は何の目的があって同調フォンスロットを開けようとしていたのですか?」
そんな様子にジェイドがついでと言わんばかりの様子でその訳を問う。









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