時代と焔の守り手は龍の剣 第十一話

・・・そして各六神将を捕縛し終え、エサのヴァンと共にタルタロスに引き連れていった比古清十郎達。(ちなみに神託の盾兵士は六神将が捕縛されていくのを見て何とか助け出そうとしたが、ジェイドがタルタロスもろとも降伏しなければ六神将の命はおろかそちら側の殲滅に本格的に取り掛かると比古清十郎を意識的にチラッと見ながら言ったことで、比古清十郎の力を目の当たりにした神託の盾は萎縮して結局降伏の道を選んだ)

そして1人アッシュは膝を砕かれたまま、ルークのいる部屋へと比古清十郎達に担ぎ上げられていく・・・












・・・そして比古清十郎達が室内に入り、その中に兵士に担ぎ上げられたアッシュを見てルークは驚愕に目を丸くする。
「マジか・・・本気で連れてきた・・・!」
「さぁ、お前に言っておいた通りアッシュは連れてきた。俺達もここにいる、好きなだけ話せ」
そんなルークに比古清十郎は言葉少なく壁に体を預けつつ、無理矢理兵士にルークと距離を多少取って椅子に座らされたアッシュを指す。
「ぐっ・・・わざわざ俺をこの屑と会わせるとは、どういうつもりだ・・・!?」
「何、色々とルークからお前に聞きたい事があるからと連れてきただけだ・・・とは言え今までの俺達の行動の推移を説明せねば話が進まんからな。ジェイド、その辺りをアッシュに説明しろ」
「えぇ、わかりました」
そこから膝の激痛に顔をしかめながらも悪態をつくアッシュに比古清十郎は自分達がどういった状況にいるのかの説明をジェイドに任せ、何ら反発することなくジェイドはすらすらと説明を開始する・・・












・・・そこからジェイドは色々と説明した。セカンがヴァンを倒して捕虜とした事、ルーク達は既に捕虜としたヴァン自身からルークがアッシュのレプリカであると知っていること、そしてセカンもアッシュのレプリカであり超振動を使えない事からヴァンが廃棄したレプリカであることを・・・



「・・・まぁ大まかな所はこんなとこです」
「・・・俺の知らない所でそんなに事態が進んでいた・・・」
そしてジェイドの説明も終わりアッシュは事情を把握し終えると、尊大な笑みを浮かべセカンを見る。
「はっ!まさかこの屑以外に俺のレプリカがいるとは思わなかったが、この屑以下の出来のレプリカとはな!」
「「っ・・・!」」
そこでアッシュはルークとセカン、どちらに対しても存在を見下す言葉を放ち言われた二人は同時に同じ顔で怒りを浮かべる。
「そんな屑以下のレプリカに敗れるとは堕ちたな、ヴァ・・・!?」
「・・・随分と達者に回るようだな、その舌は。膝を砕くのではなく舌を切り刻み、ノドを砕けばやかましくならずにすませてやれたものを・・・」
それで尚自身が被験者であるからとの誇りのまま好き勝手言おうとしたアッシュだったが、その声はすぐに止められた。娘と呼べる存在をただ傷つけるよう罵倒するアッシュに既に殺気を盛大に撒き散らしながら刀を抜き放ち、ゆっくりと近寄る比古清十郎の羅刹すら凌駕する形相で・・・ルークに任せるとは言ったものの元々沸点の低い方だった比古清十郎、その琴線の中でも逆鱗であるセカンへの心無い罵倒の連続はもう耐えられるようなものではなかったようだ。



だが流石にそれを見て覚悟を決め息を吐きながらも、ジェイドがその肩を掴んで制止するがそのこめかみには冷や汗が浮かんでる。
「・・・一応これはルークに用意した場でしょう、あまりでしゃばるのはよくありませんよ。それとアッシュ、あまり二人に対して意味のない罵倒はしないでください・・・ただ言っておきますが、このような事態を何度も納めるのは御免です。なのであくまでも私はこの1回だけしか止めませんので、これ以降は私は手出ししませんのであしからず・・・」
「・・・ふん」
「っ・・・!」
・・・ジェイドからしても比古清十郎の怒りのとばっちりは受けたくはなかった、だがそれでも今止めねば勢いでアッシュは斬られていた。だが1回止めてもまたアッシュが失言をすればまた修羅場になり得る。



だからジェイドはそのような事態を避けるためにどちらにも釘を刺したのだ、アッシュが失言をしたならもういかようにしても構わないと自身は関知しないと告げる事で。比古清十郎はアッシュが失言をすればいつでも殺していいと言われた事で一応は刀を引くが、当のアッシュはストッパー役はもうないと知り顔を硬直させる。
(やれやれ、これで少しはまともに話が出来ますか・・・)
その様子を見てジェイドは内心安堵した、これでようやく話し合いらしい話になり修羅場は容易には来ないことに。









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