時代と焔の守り手は龍の剣 第十一話

「・・・来ましたか」
「・・・あれ?それにしては、アリエッタの姿がありませんけど・・・」
神託の盾が散り散りになりだしている現状にタルタロスから出て比古清十郎の前に向かう六神将の姿を確認したジェイドだったが、集結して固まる四人の六神将の中にアリエッタがいないことにセカンはその姿を見渡し探す。
「・・・あっ、いた!・・・でもあれって・・・」
「明らかに怯えていますね、アリエッタは。おそらく彼女だけは正確に把握したんでしょうね、ライガに育てられた事から得た野生の勘のようなものでカクノシン氏との実力のあまりの差を」
すると見つける事は見つけたがタルタロスに寄り添い隠れるようビクビクと青い顔をしたその姿に、ジェイドは眼鏡を押さえながら理由に検討をつける。
「まぁ彼女は下手に刺激しなければそのまま大人しくしてくれるでしょう、後は・・・」
「はい、師匠があの四人を撃退すれば勝ちです」
その様子にアリエッタは戦力に換算しないでいいと見た二人は今来た六神将四人を倒せば終わりと、その様子を注視する。



「待ちな!調子に乗るのもそこまでだよ!」
「・・・フン、来たか」
その四人は神託の盾兵士達をどけるよう比古清十郎の前に行きシンクが声を大きく制止をかけると、比古清十郎はその手を止め四人と相対する。その手が止まった事に神託の盾は我先にとその場から離れていく。
「随分と派手に暴れてくれたじゃないか、それも大層に謡将を人質に出して誘い出すようにしてさ」
「だがそれもここまでだ、前は1人1人やられたが今度は油断せずにまとめてかかろう」
「ハーッハッハッ!それに、今度はこの私のカイザーディストも加わるのです!いくら貴方が手練れでもこれでは勝ち目がありませんよ!」
「・・・お前にはザオ遺跡で借りがあるからな、それをノシをつけて返してやるぞ!」
雑魚がいなくなり4対1の構図になったところで各六神将が思い思いのセリフを比古清十郎にぶつけながら、戦闘の構えに入る。
(・・・まずはこの目障りなカラクリ人形から壊すか、鬱陶しくてかなわん)
しかし比古清十郎の心中には六神将を四人も相手にする事に気負いすることなく、むしろでかくて邪魔だからという理由だけでディストの後ろからカイザーディストを先に片付けるかとターゲットを設定する。
「ハーッハッハッ!では行きますよ!」
‘ドンッ!’
「遅い」
「!?」



「飛天御剣流・龍槌、翔閃!」



‘ガギィヤッ、ゴギャッ!’
・・・そんな比古清十郎に意気揚々と攻撃を仕掛けようとしたディストの目論見は目にも止まらぬ早さでカイザーディストの前に比古清十郎により、ディストの動きが驚きで止まってしまい実行されることはなかった。

そこから強烈な斬り下ろしの龍槌閃をカイザーディストに叩き込むと固く斬れない素材で作られてるはずのその機械の体はいとも容易くいびつな音と共に大きな傷を作り、比古清十郎は地面に足をつけ刀の腹をもう片方の腕で押し上げながら飛び上がる・・・この技の名は龍翔閃、その龍翔閃を放ちカイザーディストの胴体をまた大きな音と共に斬り上げその体に大きなVの字を刻み付ける。

・・・本来なら対空用に使う技である龍翔閃を龍槌閃とともに連続技で使ったのだ、これが人間だったなら間違いなく胴体がバラバラになって息絶えているだろう・・・だが今目の前にいるのは譜業仕掛けのカラクリ人形で、まだ動きうる・・・

・・・そう考えたが故に比古清十郎は龍翔閃の余韻の残るまま飛翔し、刀の刃の部分を自分側に持ちかえカイザーディストに最後の止めを刺す。



「飛天御剣流、龍槌閃・惨!」



‘・・・ズギャッ!’
「ヒィィィッ!」
「・・・」
・・・その龍槌閃からの派生技である龍槌閃・惨は特徴として言うなら通常の龍槌閃が斬る面が通常の降り下ろしの斬撃分の面積分斬れるがその分威力が分散されるのに対し、龍槌閃・惨は全体量と飛翔した分の高さを加えて突きのように刀を相手に下ろす事から点の強さがあることで通常の龍槌閃より範囲が狭い分威力があることになる。



その龍槌閃・惨を持って上から中心部を貫いた事にディストから悲鳴が上がるが、比古清十郎は何も言わずカイザーディストから刀を抜きその胴体を蹴って飛び離れて再び四人の前に降り立つ。
「・・・まだ来ると言うなら受けてはたとう。だが俺は勧めんぞ、ただの肉片に変わりたくないならな・・・それはこの場から逃げ出した場合も同様だ、特にディストとやら・・・貴様はだ・・・」
「ヒィッ・・・!」
そこから前半は残り3人に向けての挑発、後半はディストに向けての釘差しを比古清十郎は行いディストを怯えさせ逃亡への心を折る。ディスト自身は戦闘タイプではない、だから逃げへの布石を打ったのだ。比古清十郎はそうした場合を匂わせ。








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