時代と焔の守り手は龍の剣 第十一話

‘‘‘‘ギャアァァァッ!’’’’
「「「「うわあぁぁぁっ・・・!」」」」
まずはと先制に食らわせた音波攻撃にグリフィン達が一斉に苦悶の鳴き声を上げながら地面に落ちていき、同時にグリフィン達に捕まっていた兵士達の多数が手を放された事で断末魔の叫びを上げながらタルタロス程の高さから地面に落下していく。
「・・・これで上は潰した、後はやむ無く地上から来る雑魚どもを片付けていけばいい・・・・・・フン、来たか・・・」
その効果を見つつ次に敵の取るだろう行動は空ではなく地上戦、それも不本意の。そう口にしつつ比古清十郎は外套を脱ぎ捨て、タルタロスの出口から勢いよく出てきた神託の盾を殺気を込めた鋭い視線でカッと見る。



「預言を覆す為に預言に浸かった者達を全て殺す・・・そんな外道どもに情けはかけん」



・・・人を殺す事を正当化する気は比古清十郎にはない、どんな理念があろうと飛天御剣流も所詮は殺人技にすぎないと理解している。だがそれでも比古清十郎には揺るがない物がある・・・それが預言を排除するためには立ち止まらないという意志に、理不尽に人を巻き込む者に対しての徹底した排除への意志だ。



確かにヴァン率いる神託の盾は預言を欺く為に行動はしているが、それは全く死ぬべきではない人間までも無情に巻き込んでしまう物・・・それを容易にやれる神託の盾を比古清十郎は許す気などなく、刀を抜き一回地面に向けて振る。
‘ブォッ!’
「っ・・・っ!?」
その瞬間に起きた剣風のすさまじさとその一振りで地面に剣の道筋分の亀裂が出来上がった事に、後ろで見ていたジェイドは目を疑った。これが何の技でもないのかと。
「「「「っ・・・!?」」」」
「・・・行くぞ」
そしてその光景に瞬間的によりおののいたのは目の前で近付いて来ていた神託の盾であったのだが、今更硬直しても遅かった・・・比古清十郎は宣言を一言口にすると、一足飛びで神託の盾の団体の先頭部分にたどり着き・・・
‘ザンッ!’
「「「「っ!?」」」」
刀を一つ横に凪ぎ払った、ただそれだけで何人もの神託の盾兵士の体が一気に両断された。上半身に下半身に腕などが人間のあるべき形から切り離された事で、その神託の盾だった者達は切断面から血を吹き出し一気に地面に落ちていく。
「フン」
「・・・ヒッ!?」
そんな浮世離れた光景をただ唖然と見ていた近くの神託の盾の前に比古清十郎は鼻を鳴らしながら踏み込み、その行動が何を示すのかを理解した神託の盾兵士が取った行動はただ・・・怯え恐怖した声を上げるばかりしかなかった・・・



「・・・ある程度は想像していましたが、まさかこれほどとは・・・」
・・・比古清十郎の戦闘をたった30秒程しか見ていないジェイドだったが、その本気を出した時の実際の光景を目の当たりにしてもはや平常心ではいられず真顔で呟いていた。
「・・・もう神託の盾には陣形も統率もない。このままだったら壊滅は免れません」
その声にセカンはしっかりと師匠が剣を奮う姿を目にしながら、神託の盾の末路を語る。



・・・たった30秒、それだけの時間であるというのに比古清十郎の剣の前に神託の盾兵士は既に50以上の数の兵力を失っていた。その剣筋のあまりの鋭さは味方からしても予想外だったが、敵からしても予想外。そんな強さを持つ比古清十郎を相手にして神託の盾の士気が上がるはずもなく、比古清十郎を見て恐怖で尻込みする者がいるばかりか既に逃げ出した者もいるくらいだ。

・・・ただ、敵もそんな状態を黙って見ているはずがなかった。









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