時代と焔の守り手は龍の剣 第十一話
「ではその外套を返せ、あくまでもこれを取るのは六神将達を撃退する時だ」
「・・・えぇ、わかりました」
そう重さに苦しんでいると外套を返せと出された手に、内心ジェイドは頼まれてもわざわざ着けていたくないなど思いながら普段通りの様子で外套を外して返す。
「では早速ヴァン謡将を引き連れ、あちらのタルタロスが来るであろう進路上に向かった方がいいかと。あまり時間もありませんしタルタロス同士で鉢合わせれば問答無用で砲撃戦になる可能性もあり得ます、そうなる前に急いだ方がいいかと思われます」
「あぁ、そうだな。では行くぞ」
「「はい」」
そこからフリングスが冷静に今すぐ出発した方がいいと見解を述べ上げ、比古清十郎は即決でその意見に頷き行くと告げるとセカンとジェイドの二人も首を縦に振る。
・・・そして幾人かのマルクト兵士とその兵士に囲まれながら縄目を受けているヴァンを引き連れ、比古清十郎達は六神将達を乗せるタルタロスの進路上に向かう。尚フリングスは乗ってきたタルタロスの指揮やその他の雑務があるため、比古清十郎達には付いてきてはいない。
そうこうしている内にその先から現れたのはフリングスからの報告通り、タルタロス・・・
「・・・来たか」
その姿を目視して立ち止まる比古清十郎に後ろのジェイド達も立ち止まると同時に、目の前のタルタロスもその巨体を止める。
「セカン、お前はアリエッタが繰り出すだろう魔物に備え様子を見ながら龍鳴閃を放て。それで奴らの戦力は大分削げる。後はジェイドとともにヴァンの周りを固めろ」
「はい!」
その姿に目論見通り白兵戦を仕掛けて来るための停止と見た比古清十郎は素早く指示を出し、セカンは勢いよく了承する。
「彼らも貴方の実力は少なからずザオ遺跡で感じたはずです、彼らには貴方に対する侮りはないでしょう・・・勝てますか?」
「奴らの取る手段は兵力の差を全面に押し出したごり押しの力攻めだ、まず間違いなくな。まぁ戦術の選択としては間違ってはいない。自陣側に多大に戦力がある戦は下手な策は弄するだけいらぬ労力を招くからな・・・が、奴らでせいぜいマシと言えるのは六神将くらい。その上戦力が自分の方が上だと言う認識は知らず知らずの内に自身の目を曇らせやすい、個人の力量の違いを理解していようがな・・・その油断を突けば奴らは崩れる、望む望まないに限らずだ」
「・・・成程」
そこで再度不利な状況で勝てるかと問いかけるジェイドに比古清十郎は戦略と精神の両面から見た観点で勝てると迷いなく語り、ジェイドは納得した様子でそれ以上の追及を止める。
・・・有利な状況に立てば立つほど人は知らず知らずの内に心に隙を生じる物、そこを突けば劣勢の立場からでも一矢を報いる事は出来うる。そんな状況で六神将はともかくとしても一般の神託の盾兵士がこれから羅刹とすら思わせるような強さを比古清十郎が六神将を相手に見せつけたなら、自陣有利と考えていた兵士の心中はどういったことになるか・・・
ジェイドも比古清十郎の未知数だが畏怖すら覚える力があれば神託の盾を崩す事は可能だと、死霊使いと呼ばれるまでに至ったその頭脳が導き出していた。
‘ギャアッ!’
・・・と、目の前のタルタロスの上の方から魔物の鳴き声が聞こえて来たことにジェイドが視線を向けるとそこには大量のグリフィンがこちらに飛び立ってくる姿があった。
「・・・では皆さん、行きます!耳は気をつけてください!」
その姿にまずは先手と言わんばかりにセカンが刀を勢いよく抜き・・・
「飛天御剣流・龍鳴閃!!」
‘キィィィンッ!’
戦いの合図をするかのよう、技の名前を叫びながら刀を超神速で納刀してその音を甲高く鳴らせた。
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「・・・えぇ、わかりました」
そう重さに苦しんでいると外套を返せと出された手に、内心ジェイドは頼まれてもわざわざ着けていたくないなど思いながら普段通りの様子で外套を外して返す。
「では早速ヴァン謡将を引き連れ、あちらのタルタロスが来るであろう進路上に向かった方がいいかと。あまり時間もありませんしタルタロス同士で鉢合わせれば問答無用で砲撃戦になる可能性もあり得ます、そうなる前に急いだ方がいいかと思われます」
「あぁ、そうだな。では行くぞ」
「「はい」」
そこからフリングスが冷静に今すぐ出発した方がいいと見解を述べ上げ、比古清十郎は即決でその意見に頷き行くと告げるとセカンとジェイドの二人も首を縦に振る。
・・・そして幾人かのマルクト兵士とその兵士に囲まれながら縄目を受けているヴァンを引き連れ、比古清十郎達は六神将達を乗せるタルタロスの進路上に向かう。尚フリングスは乗ってきたタルタロスの指揮やその他の雑務があるため、比古清十郎達には付いてきてはいない。
そうこうしている内にその先から現れたのはフリングスからの報告通り、タルタロス・・・
「・・・来たか」
その姿を目視して立ち止まる比古清十郎に後ろのジェイド達も立ち止まると同時に、目の前のタルタロスもその巨体を止める。
「セカン、お前はアリエッタが繰り出すだろう魔物に備え様子を見ながら龍鳴閃を放て。それで奴らの戦力は大分削げる。後はジェイドとともにヴァンの周りを固めろ」
「はい!」
その姿に目論見通り白兵戦を仕掛けて来るための停止と見た比古清十郎は素早く指示を出し、セカンは勢いよく了承する。
「彼らも貴方の実力は少なからずザオ遺跡で感じたはずです、彼らには貴方に対する侮りはないでしょう・・・勝てますか?」
「奴らの取る手段は兵力の差を全面に押し出したごり押しの力攻めだ、まず間違いなくな。まぁ戦術の選択としては間違ってはいない。自陣側に多大に戦力がある戦は下手な策は弄するだけいらぬ労力を招くからな・・・が、奴らでせいぜいマシと言えるのは六神将くらい。その上戦力が自分の方が上だと言う認識は知らず知らずの内に自身の目を曇らせやすい、個人の力量の違いを理解していようがな・・・その油断を突けば奴らは崩れる、望む望まないに限らずだ」
「・・・成程」
そこで再度不利な状況で勝てるかと問いかけるジェイドに比古清十郎は戦略と精神の両面から見た観点で勝てると迷いなく語り、ジェイドは納得した様子でそれ以上の追及を止める。
・・・有利な状況に立てば立つほど人は知らず知らずの内に心に隙を生じる物、そこを突けば劣勢の立場からでも一矢を報いる事は出来うる。そんな状況で六神将はともかくとしても一般の神託の盾兵士がこれから羅刹とすら思わせるような強さを比古清十郎が六神将を相手に見せつけたなら、自陣有利と考えていた兵士の心中はどういったことになるか・・・
ジェイドも比古清十郎の未知数だが畏怖すら覚える力があれば神託の盾を崩す事は可能だと、死霊使いと呼ばれるまでに至ったその頭脳が導き出していた。
‘ギャアッ!’
・・・と、目の前のタルタロスの上の方から魔物の鳴き声が聞こえて来たことにジェイドが視線を向けるとそこには大量のグリフィンがこちらに飛び立ってくる姿があった。
「・・・では皆さん、行きます!耳は気をつけてください!」
その姿にまずは先手と言わんばかりにセカンが刀を勢いよく抜き・・・
「飛天御剣流・龍鳴閃!!」
‘キィィィンッ!’
戦いの合図をするかのよう、技の名前を叫びながら刀を超神速で納刀してその音を甲高く鳴らせた。
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