時代と焔の守り手は龍の剣 第十話

「・・・だから師匠は貴女の事にイラついてるんです。ちょっとつつけばすぐに揺れて本質が出る、なのにそれを何かの間違いだって自分が傷つかずよく見られる為の言い訳を探そうとする・・・竜頭蛇尾をそのまま姿に現した、そんな意志が弱い上に見栄だけは張るような人に好意を持てる訳がありません」
「・・・っ!」



・・・竜頭蛇尾、最初は大きい事を言うがすぐさま大したことがなくなること。もっと単純に言えば見かけ倒しという事。



ティアが竜頭蛇尾という言葉の意味を知っているかは定かではないが、セカンが強くその姿を射抜きながら話す様子にティアは今度こそ手詰まりになったことを理解させられ何も言えず頭を下に向けた。
「・・・という訳です。貴方達は神託の盾との戦いには出しませんし自由にはしません。大人しくここで待機していてください、念のために言いますが力づくでここから脱出したなら今度は例外なく貴方方を始末します。それだけは覚えておいてくださいね」
「「・・・っ!」」
「では行きましょうか、セカン」
「はい」
ティアも反論が出なくなる程打ちのめされた、その光景を見ていたジェイドは最後に自分がダメ押しをしておこうと逃げ出した場合の処置を述べる。その声に二人ともビクッと体を揺らすがジェイドはその姿に何を言うでもなくセカンに退出を口にし、セカンもそれ以上何も言わずさっさとその場を後にする。



・・・そしてセカンも退出をしたその場には、ただ何も言えずに座りこけるガイとティアがしばらくそのままの状態で鎮座する光景があるばかりであった・・・









「・・・お待たせしましたね」
「いや、気にするな」
そして部屋の外、ドアの近くの壁に腕組みでもたれ掛かっていた比古清十郎を見てジェイドがすまなそうに声をかける。
「それより次だ・・・ある意味一番厄介なヤツかもしれんな、アイツが」
「えぇ、まぁ・・・流石に憔悴せざるを得ませんよ、あのような事を聞けば・・・とりあえず今は少しは落ち着いていますので会話は出来ると思います、ただもしもの場合は・・・」
「あぁ、わかってる・・・案内しろ」
「・・・っ・・・」
そんなジェイドに意を介してないよう答えつつも比古清十郎は珍しく難しそうな声を上げジェイドも同意しつつ、結論を濁すような言葉で先を促す。比古清十郎はその事をあえて触れずに先に行くが、セカンは苦々しそうに手を胸の上に置きながら後を付いていく・・・






・・・そしてあるガイ達のいた部屋から離れた所にある部屋の前に辿り着く。
「失礼しますよ・・・ルーク」
「・・・あぁ・・・」
その部屋の扉を少し開けジェイドが中にいるルークに確認を取ると、力ない返答が返ってきてジェイドを先頭に比古清十郎とセカンは後に続いて部屋に入る。
「・・・カクノシンにセカンも一緒、か・・・」
「・・・随分とやつれたようだな」
「・・・あんな話聞いてなんともねぇんだったら、そいつの神経疑うぞ俺・・・!」
入室の様子を見ていたルークは声を上げるが、明らかにゲッソリと影を体だけでなく雰囲気にまで全体に落とす姿を見て比古清十郎は大分悩んでいたのだなと再確認する。そんな声に対しルークは吐き捨てるよう、半ばやけになった声を上げそっぽを向く・・・












・・・人並みにも物を考えることも出来なかった者達への制裁は一先ず済ませた



だが人を罵るのは簡単でも救うことはその何倍もの苦労がある



何も知れなかった焔を救わんと、龍の剣の使い手は動く・・・



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