時代と焔の守り手は龍の剣 第十話
「ファブレを滅ぼせば当然キムラスカは動かざるを得ません、何せキムラスカの王族のそう遠くない親族であり軍内部で最高権力を持つ元帥がいるのですからね。そんな一族を殺されれば犯人探しにやっきにキムラスカがなるのは当然の上、その捜査線にマルクトが上がるのは当然です。何せ犬猿の仲の国ですから、その国が疑われるのは当たり前でしょう。そんな中で貴方がキムラスカには恨みはない、ファブレにだけ恨みがあったから行動したんだ・・・などと言って何になります?そもそもファブレ公爵もファブレの独断でホドを攻めたのではなく、キムラスカ全体での判断で攻めたのです・・・そう考えれば確かにガルディオスを滅ぼしたのはファブレですが、全体的な視点で見ればキムラスカがマルクトに戦争を仕掛けた上での結果です。そこから逆に考えれば貴方がファブレを滅ぼせば必然、マルクトがキムラスカに戦争を仕掛けた事になります」
「っ!?そ、そんな・・・」
「・・・ガイ、貴方考えた事はなかったのですか?ガルディオスがファブレを滅ぼす、そうなった時の意味という物を」
・・・一部だけを見て全部を見ないで事を判断するなど、まず人として有り得ない。だがガイはそれを考えておらず、ただ都合のいい解釈をしている・・・
ジェイドが懇切丁寧に説明したというのにガイが心底意外そうに絶望したリアクションを取った事に、ジェイドは呆れを分かりやすく見せつつ更に続ける。
「貴方がファブレを滅ぼした後マルクトに戻ってくれば戦争の火種がそのままマルクトの手元に来ることと同意であり、マルクトはそのような事は当然望んではいません。もし貴方がそうしてマルクトに戻ったなら、マルクトはまず貴方の身柄を拘束してキムラスカに送り届けるでしょう」
「!?な、なんで・・・!?」
「決まってるでしょう、それがマルクトの総意でないとキムラスカに示すためです。とは言えそうしてしまえば預言の事もありますので、戦争を避けられる可能性は皆無に近いでしょうが・・・わかりますか?それほどに今更なのですよ、貴方を見捨てることが出来るくらいにはガルディオスの遺児はもうその存在はマルクトにとってあまり意味がないものとなっているのです。それどころか何をしていない状態で戻ってきた所で先程言ったように戦争に踏み切る事を辞さない過激派に旗頭として持ち上げられれば、マルクトの衰退を少なからず招く事になります・・・つまりは厄介なのですよ、貴方をガルディオスとしてマルクトが迎え入れる事は」
「・・・・・・だから、俺は捕らえられるというのか・・・」
「えぇ、そうです。あくまでファブレ邸で働く一使用人である『ガイ・セシル』としてね」
・・・どう転んでもガイがガルディオスとしてマルクトに戻れば、マルクトの不利に繋がる事になる。
ジェイドが畳み掛けたそれらにようやく観念した様子になったガイは力なくうなだれ、その姿にジェイドは確かに念を押す・・・『ガイ・セシル』としてでしか扱わないと。
(・・・奴らもある程度想像していたことだろうが、これをそのまま伝えればいい顔はせんだろうな・・・)
そんなことに気付いているか否かはさておきと比古清十郎は一段落したのを見届けると、漆黒の翼にこの話をした時の光景を想像する。
(とは言え無様に時を無為に消費してきたのはこいつだ、弁護などする気も起きんし奴らも覚悟済みの事・・・それにマルクトがこいつを引き取る事になった、もう俺には関係ないことだ)
しかしもうそれ以上は考えまいと比古清十郎は思考を放棄する、これからの事について考える為に。
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「っ!?そ、そんな・・・」
「・・・ガイ、貴方考えた事はなかったのですか?ガルディオスがファブレを滅ぼす、そうなった時の意味という物を」
・・・一部だけを見て全部を見ないで事を判断するなど、まず人として有り得ない。だがガイはそれを考えておらず、ただ都合のいい解釈をしている・・・
ジェイドが懇切丁寧に説明したというのにガイが心底意外そうに絶望したリアクションを取った事に、ジェイドは呆れを分かりやすく見せつつ更に続ける。
「貴方がファブレを滅ぼした後マルクトに戻ってくれば戦争の火種がそのままマルクトの手元に来ることと同意であり、マルクトはそのような事は当然望んではいません。もし貴方がそうしてマルクトに戻ったなら、マルクトはまず貴方の身柄を拘束してキムラスカに送り届けるでしょう」
「!?な、なんで・・・!?」
「決まってるでしょう、それがマルクトの総意でないとキムラスカに示すためです。とは言えそうしてしまえば預言の事もありますので、戦争を避けられる可能性は皆無に近いでしょうが・・・わかりますか?それほどに今更なのですよ、貴方を見捨てることが出来るくらいにはガルディオスの遺児はもうその存在はマルクトにとってあまり意味がないものとなっているのです。それどころか何をしていない状態で戻ってきた所で先程言ったように戦争に踏み切る事を辞さない過激派に旗頭として持ち上げられれば、マルクトの衰退を少なからず招く事になります・・・つまりは厄介なのですよ、貴方をガルディオスとしてマルクトが迎え入れる事は」
「・・・・・・だから、俺は捕らえられるというのか・・・」
「えぇ、そうです。あくまでファブレ邸で働く一使用人である『ガイ・セシル』としてね」
・・・どう転んでもガイがガルディオスとしてマルクトに戻れば、マルクトの不利に繋がる事になる。
ジェイドが畳み掛けたそれらにようやく観念した様子になったガイは力なくうなだれ、その姿にジェイドは確かに念を押す・・・『ガイ・セシル』としてでしか扱わないと。
(・・・奴らもある程度想像していたことだろうが、これをそのまま伝えればいい顔はせんだろうな・・・)
そんなことに気付いているか否かはさておきと比古清十郎は一段落したのを見届けると、漆黒の翼にこの話をした時の光景を想像する。
(とは言え無様に時を無為に消費してきたのはこいつだ、弁護などする気も起きんし奴らも覚悟済みの事・・・それにマルクトがこいつを引き取る事になった、もう俺には関係ないことだ)
しかしもうそれ以上は考えまいと比古清十郎は思考を放棄する、これからの事について考える為に。
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