時代と焔の守り手は龍の剣 第二話

「どうしたんだろう、演習かな?でもそれなら普通はセントビナーの方につけると思うんだけど・・・」
その姿を目撃し、どんどん近づいて来る様子にセカンは考え込む。
「・・・村の中に入っておこ。もしかしたらマルクトが何か動いてるのかもしれないし・・・」
訳はわからないが、それでもタルタロスがこちらに近づいているのは事実。なら必然的に村にいれば何かを目撃することが出来る。
そう考えたセカンはタルタロスを見てから村の方に足を運ぶ・・・



「・・・えっ・・・?」
だがそうやって誰か来るかと予想をつけて村の入口で待っていたセカンの目に、しばらくしてから予想以上の存在が姿を現した。
「おい、大佐の隣にいるのって導師イオンだよな・・・?」
マルクト軍人が何人かの団体でエンゲーブに入ってくる中、先頭を歩く眼鏡をかけた軍人の横をローレライ教団の法衣を着た人物のことをセカンの周りにいた村人が導師イオンだとヒソヒソ話で隣の村人に話しかける。
(導師イオンよね。後ろにいるのは導師守護役の服を来た子だから、まず間違いないと思うけど・・・)
そしてその後ろにいるツインテールの黒髪の少女の存在に、セカンもそうだと思いながらも導師が何故マルクト軍人とともにエンゲーブに来てるかの理由を考える。
(見た感じ他に教団の人がいないし、マルクトの軍人の人達に護衛されてて、噂でも導師がダアトから出たなんて話聞いてないし・・・これって、少なくてもマルクトがなんらかの動きを見せてるって事よね)
詳しい理由は流石にわからないが、それでも導師を連れて出るには相当の理由があるとセカンは見当をつける。
(とりあえず師匠に手紙だけでも出そう、理由はわからないけど導師がいるなら多分大事だと思うから・・・)
それから考える事にこれ以上は意味がないと、セカンはその場から離れて鳩を飛ばそうと入口付近から身を翻す・・・









「・・・これでよし。それで後はチーグルの事が解決すれば、私も動きようがあるんだけどなぁ・・・」
鳩を比古清十郎の元に飛ばし終え、セカンはまた頭を悩ませる。
・・・比古清十郎に送った手紙には導師のことを伝えると同時に、チーグルの問題についても述べていた。内容にして言えば、‘数日の間エンゲーブに滞在してチーグルの問題の解決を待つが、問題がしばらくは解決しないと見切りをつけたらすぐに戻る’というものだ。
「出来れば私がいる内に解決してほしいけど・・・ローズおばさんの所に行こう。もしダメだったら、おばさんに頼まないといけないし・・・」
ただ前置きはおいたが、そう長くエンゲーブにいられないのは自身でわかっているので、セカンはそれ以降問題が続きそうならローズおばさんにそのことを頼む為、ローズおばさんの所に足を運ぶ・・・



「・・・ん?」
と、セカンはローズおばさんの家の前が人でごった返す様子を見て足を止める。
「どうしたんですか、一体?」
その様子にセカンは村人に声をかける。
「あぁ、リンゴを盗もうとした奴らを捕まえてな。そいつらをローズさんのとこに連れてったんだよ。それで今尋問してるんだけど、その結果を待ってる所でね・・・」
「・・・」
振り返りながら喋る村人は少し鼻息が荒く、怒りが滲んでいる。そして説明終わりにまた家の扉を睨みつけるさまに、まだ数日前のチーグルによる食料盗難が尾を引いているのだとセカンは心配そうな視線を扉に送る。
‘バタンッ!’
「「「「っ・・・!」」」」
すると途端に家の扉が開かれ、そこから人が勢いよく現れる。
「・・・っ!?」
周りの人々はそこから出て来た人に注目するが、ただ一人セカンは驚愕していた。何故ならそこにあった顔は・・・



(私そっくり・・・!?)



髪の色こそ黒と朱で違うが、セカンとそっくりそのままな不機嫌な顔だったのだから・・・









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