時代と焔の守り手は龍の剣 第十話

「ま、待って・・・何もガイはそんなつもりで言ったんじゃ・・・」
「っ・・・つもりもへったくれもない、俺が突き付けているのはあくまでも事実た・・・そう、実の兄が正直にお前に明かしたようにな」
「っ!」
するとその様子を黙って見ていたティアがガイを擁護しようと声を上げるが、比古清十郎はすかさず苛立ちながら鋭い切り口で返しその声を青ざめた表情にさせすぐさま黙らせる。
「・・・ジェイド、お前いつにこいつらをヴァンと引き合わせた?」
「彼らが来てすぐですから数日経ってます、時間はそれなりにあったのは確かですよ」
「・・・そうか」
その様子に比古清十郎は振り向きもせずにジェイドに問いかけるが、何を聞きたいのか正確に察した返しの言葉に確かに頷く・・・今度はティアにターゲットを変え、視線を向けつつ。
「・・・そもそもの話だが、お前は何の為にファブレへと侵入した?確か話を思い出せば何やらヴァンを殺すためだということらしいが、そう言ったきっかけに思い至るにはそれなりの物があると思うのが普通だと思うが・・・もしやお前は知っていたのではないか?ヴァンが何をしようとしていたのか、答えその物でなくともそれに近い物を」
「なっ!?なんでそれを・・・!?」
「・・・図星か・・・」
まずはと比古清十郎はティアがファブレ邸にいたヴァンを襲撃した訳はヴァンの行動を知っていたからだろうと推測とカマかけを織り混ぜながら質問すると、1発で動揺して声と表情を揺らすティアに比古清十郎はたまらず頭を抱えたくなった。あまりにも簡単すぎる事実の露呈に。
「・・・大方そんなところだろうとは予想していたが、それならそれで何故お前は現在の兄の現状に対し少なからず割り切れていない様子を見せた?殺そうとまでしていた相手の真意はもうはっきりしている、なのに兄の事を割り切れんのは甘いと言わざるを得ん。それに時間はあったとジェイドは言っている、考える時間はな・・・それで、何故貴様はまだ割り切れていない?答えろ」
「っ・・・っ!」
そこから比古清十郎はその行動がいかに甘いかを含ませつつもヴァンに対して割りきれてない訳を問うが、ティアは息を飲み答えることが出来ない。
「・・・人に物を聞かれてもはっきり何も答えることが出来ん、か。フン、今まで何を考えて行動をしてきたんだか理解が出来んな・・・なら1つ答えやすいように質問を変えてやる、お前がヴァンの企みもしくはそれに近い物を感じ取ったのはいつ頃のことだ?これに関しては別に思考を明かせと言っている訳ではないから答えられるはずだ・・・もっとも、それすら答えられんと言うならせめてもの情けだ。意味のわからん思考でずっと混乱することのないよう、この場で引導を渡してやる」
「・・・っ!」
そんなティアに呆れを覚えつつも今度はヴァンの企みを知った時期を知るために比古清十郎は脅しを真剣に交えつつ、ティアを萎縮させる。だがそれで言葉を止めさせないために、比古清十郎は更にだめ押しをする。
「ジェイド、ちなみに聞くがコイツに対し黙秘権をマルクトは認める気はあるか?」
「いえ、ありません。こちらとしてもヴァン謡将がどのような活動をしていたのか把握したいという考えがありますからね。貴方がそう聞かなかったら我々が取り調べをしようと思っていましたからね、それこそ話してくれる気になるようになるまでね・・・」
「・・・っ!」
そのだめ押しとはマルクトの後押し。比古清十郎の確認を取る声にジェイドはマルクトがどれだけ本気でその事を知りたいのか、拷問さえ辞さない態度でいると眼鏡を押さえながら匂わせるとティアはより一層怯えて萎縮する。



・・・ジェイドはちゃんと答えた、これでティアから話を引き出せる。そう思った比古清十郎は更に話を続ける。











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